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2019年7月24日(水)

志位委員長会見・一問一答から

 日本共産党の志位和夫委員長は21、22の両日、参院選の結果を受けて記者会見を行いました。抜粋して紹介します。


写真

(写真)記者会見する志位和夫委員長=22日、党本部

22日の会見から

選挙結果――共闘の力で、首相の改憲策動に痛打を与え、政治局面を変えた

■冒頭の発言から

 選挙戦の全体の結果で何よりも重要なことは、自民・公明と維新などの改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2を割ったというところにあります。

 安倍首相は、この結果を受けてもなお、2021年9月までの総裁任期中に改憲を実現するといっています。しかし、参院選で示された審判は、「期限ありきの性急な改憲の動きには賛成できない」という民意を示したものにほかなりません。これが3分の2を割ったことの意味、民意だと思います。ですから、私は、安倍首相にこの結果を真剣に受け止め、改憲の策動を中止することを強く求めたいと思います。

 こうした結果をつくるうえで市民と野党の共闘は決定的な役割を果たしました。野党は32の1人区のすべてで野党統一候補を擁立し、10の選挙区で激戦を制して勝利しました。多くは現職の自民党の議員を倒して勝利を勝ち取りました。そして自民党自身が激戦区に指定し、首相もたびたび応援に入った、そうした自民党の重点選挙区の多くで勝利を勝ち取った。これは大きな成果だと考えております。

 こうして、共闘の力で、安倍首相による改憲策動に痛打を与え、政治局面を変えたということの意義はたいへんに大きいと考えます。共闘の力で、安倍9条改憲に痛打をあたえ、「3分の2割れ」という形で政治局面を変えた。これはこの間の共闘の流れを見ても、特筆すべきことだと考えます。

 野党共闘はこの選挙を通じて大きく発展したと思います。日本共産党は、全国どこでも共闘の成功のために誠実に努力し、その発展に貢献することができたと考えております。この成果を力にして、総選挙にむけて市民と野党の共闘をさらに大きく発展させ、安倍政権を倒して、新しい政治をつくるために力をつくす決意であります。

首相の「審判」発言――「性急な改憲を進めるのはよくない」ことが国民の審判

 質問 安倍総理は、会見で少なくとも議論すべきという国民の審判は下ったと発言をしました。これに関してどう思いますか。

 志位 安倍首相は、選挙中、「9条に自衛隊を書き込むことが公約だ」と性急に改憲を進める立場を繰り返しました。しかし結果は、改憲勢力の「3分の2割れ」です。「性急な改憲を進めるのはよくない」というのが、国民の下した審判なのです。

 にもかかわらず、首相は、この結果をうけて、「総裁任期中に改憲を実現したい」という改憲への期限を区切った前のめりの発言をしている。首相は、「性急な改憲を進めるのはよくない」という国民の審判を真剣に受け止めるべきです。

憲法審査会での議論――世論の多数は改憲反対、憲法改正原案づくりの審査会には反対

 質問 憲法審査会で議論することに関してもこれまでと同じスタンスで性急だということでしょうか。

 志位 憲法審査会は、一般の委員会と違い、憲法改正原案をつくることを任務としています。私たちは動かす必要はないと考えています。

 今日、さまざま出されている世論調査を見ましても、いま憲法9条を変える、憲法を変えることには反対だという声が多数をしめています。いま国民のなかで「憲法を変えてくれ」という声がおこっているとは考えておりません。そういうもとで憲法改正原案をつくるために憲法審査会を動かす、これには私たちは反対です。

首相の野党協力呼びかけ――安倍9条改憲反対で一致結束して対応していきたい

 質問 憲法に関連して、首相は記者会見の中で国民民主党の中にも改憲に前向きな人がいるとして、野党の中の人にも協力を呼びかけたいといいました。このことについて、野党一致してたたかいましたが、このことについて所見を。

 志位 5野党・会派は、市民連合のみなさんと13項目の政策合意を交わしています。これには野党の党首がそれぞれ署名をいたしました。そのなかに、「安倍政権のもとでの9条改憲に反対する。発議も許さない」ということが明記されています。この合意にもとづいて選挙を協力してたたかったわけですから、その線で一致結束して対応していきたいと考えています。

「れいわ新選組」――手を携え日本の政治を変えるための協力関係を強めたい

 質問 「れいわ新選組」は比例で2議席を獲得しました。代表の山本太郎さんは京都、大阪に入って共産党候補を応援しました。院内での活動についてどういう関係が望ましいとお考えですか。

 志位 「れいわ新選組」の山本太郎代表には、私どもの候補者を、大阪、京都、神奈川で支援をしていただきました。たいへん感謝しています。

 掲げている政策を拝見しても、私たちの政策と共通する方向ではないかと考えています。ですから、手を携えて日本の政治を良くしていく、いまの政治を変えていくうえでの協力関係を強めたいというのが私たちの願いです。

 国会でも「れいわ」のみなさんとの関係で、私たちとして協力できることは何でも協力していきたいと思っています。障害をおもちの方が議員になられた。そういう方の国会活動がしっかりできるような態勢を国会としてもつくっていくことがただちに必要になってくると思うんですね。そういう問題も含めて協力を私たちは大いにしていきたいと考えています。

 質問 障害者の方の国会活動の支援と、さらに野党共闘についても検討していくという理解でいいでしょうか。

 志位 もちろんそうです。現に今度の選挙で、そういう共闘の関係をつくってきているわけです。私どもの候補者を支援していただくという形ですが、協力の関係がつくられてきております。しかも、山本さんのそれぞれの応援のスピーチというのは、それぞれの候補者の特徴をよくつかんでいただいて、心のこもった支援をしていただきました。そういう形ですでに協力関係が始まっておりますが、さらに強めていきたいというのが私たちの考えです。


21日深夜の会見から

衆院選での野党共闘――政権問題で前向きの合意をえるための話し合いを進めたい

 質問 立憲民主党の枝野代表が会見した際に、衆院選について候補者擁立についてすべてが1人区だということを踏まえ、できるだけバッティングしないように5党派で配慮、考慮すすめながら、いつあってもいいように備えていきたいとおっしゃった。政権選択の選挙であるが、衆院選においての野党共闘のあり方について現時点で委員長としてどのような考えですか。

 志位 衆院選においても野党共闘をさらに発展させていきたいと考えております。

 今回の経験を踏まえて、さらに発展を目指したい。ただ、候補者調整について言いますと、総選挙の場合は選挙区はすべてが1人区――小選挙区であるわけです。そういう条件のもと、与野党が競り合っているところを中心に一本化をはかっていく話し合いをしていきたい。この点では立憲民主党の枝野代表ともすでに合意をしておりますので、そういう方向での調整をやっていきたいと思います。

 いま一つ、さきほどの枝野代表の発言で、「5野党・会派の枠組みで連合政権についても話し合いをしていきたい」という趣旨の発言があったと思います。たいへん重要な発言だと思っております。

 総選挙ということになりますと、政権の枠組みということがどうしても問われてまいります。政権の面でも、しっかりとした枠組みをお示しする、国民のみなさんから見て安心して任せようという枠組み、期待して任せようという枠組みを示せるかどうかというのは、総選挙の場合、とくに大事になってこようかと思います。政権問題についての前向きの合意を得るための話し合いをぜひやっていきたいと考えております。

米要請の「有志連合」問題――自衛隊派兵に断固反対、政治的解決への外交努力こそ

 質問 米国から要請されている中東「有志連合」です。明日、ボルトン米大統領補佐官が来日し、岩屋防衛相と会談しますが、選挙中に一切触れなかったのは、争点隠しではないか。この点を追及する考えはありますか。

 志位 (政権・与党が)参院選挙のさなかに起こった問題で、態度をあいまいにしたまま選挙戦をやったことは大きな問題だと考えています。

 私たちとしては、自衛隊の派兵には断固反対だという表明をしてきました。いま起こっているイランをめぐる危機をみるさいに、危機をつくった根源はトランプ政権がイラン核合意から一方的に離脱したというところにあるわけで、自分で危機をつくり出しておきながら、軍事的な対応をするというのは根本的に間違いであり、それに自衛隊が参加することもまったく道理がない。私たちとしては、断固反対の態度表明を選挙中もいたしましたし、大いに訴えました。

 イランにも自制を求めることが必要ですが、トランプ政権にイラン核合意に戻るよう働きかける政治的解決のための外交努力こそ必要です。

日韓関係――政治上の紛争解決の手段として貿易問題を使うのは「禁じ手」、外交ルートで冷静な話し合いを

 質問 韓国との外交関係について、先日、河野外相が駐日韓国大使を呼びつけて「きわめて無礼な態度だ」と文句を付ける場面が報じられました。韓国との冷静かつ友好な関係を取り戻すために日本共産党はどのようなことをするのでしょうか。

 志位 この間の日本政府の対応として大きな問題と考えるのは、両国の政治上の紛争問題――「徴用工問題」をめぐる紛争問題、この解決の手段として貿易問題を使っている。これはルール破り、「禁じ手」なんです。

 政治的な紛争があった場合には、外交上のルートを通じて冷静に話し合って解決する、これを基本にするべきです。それをたがえたやり方をしているということが、両国関係の悪化をつくっていると思います。くわえて、外交上のマナーを欠いた非礼な態度を外務大臣がやるというのは、私は率直にいって常軌を逸した態度だと思います。

 G20(20カ国・地域首脳会議)の際にも文在寅(ムン・ジェイン)大統領の方から首脳会談をという要請があったわけです。それにもかかわらず、無視した対応をした。これもやはり日本がホスト国ですから、ホスト国としてのマナーを著しく欠くものだと思うんです。

 外交関係は、お互いに立場の違いがあっても、冷静に話し合うことが基本です。話し合いのためにはお互いに敬意をもって、礼儀を守ってやらないといけない。その点で私は日本政府のこの間の一連の対応に大きな危惧を感じております。

投票率と争点――論戦から逃げ回った与党に猛省を促したい

 質問 今回、投票率が5割前後ということで、前回よりもかなり下がりそうだとみられています。この点について、争点となった問題との関係で分析があれば教えてもらえるでしょうか。

 志位 投票率が低かったことはたいへん残念です。いろいろな原因があると思うのですが、やはり国民の前で争点を堂々と論じ合う、フェアに論じ合うということが少なかったのではないでしょうか。

 野党の方は、年金についても、消費税についても、堂々と論戦を挑んだと思うのですが、与党の方が論戦からずっと逃げてまわった。

 その最たるものが通常国会の後半での(野党の)予算委員会開催の要求を拒否したことです。本来なら衆参で予算委員会を開き、そこでしっかり参議院選挙の争点を時間を取って明らかにして、国民に信を問うという形になれば、もっと焦点が明瞭になったと思うんですね。そういう論争から逃げ回った。

 選挙戦に入っても、党首討論の機会はありましたけれども、全体として誠実に議論するという姿勢が見られなかったですね。たとえば私たちの年金問題の提起についても、その場しのぎのゴマカシの数字を出して、まともな議論から逃げる。それを批判しましたら、言わなくなりましたが。数字一つをとっても、事実と論理に基づいてちゃんと議論しようという姿勢が、党首討論でも私は見られなかったと思います。

 私は与党側に猛省を促したい。国民のみなさんのなかで今度の選挙がどんなに大事な選挙なのか、争点がどこにあるのか、解決策はどこにあるのか、それがもっと明らかになっていれば、投票率はもっと上がったと思っております。


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