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2019年7月17日(水)

きょうの潮流

 満員電車で足を踏んだ者と踏まれた者。踏んだほうはすぐに忘れるが、踏まれたほうは痛みを忘れない。しかも何度も踏まれれば傷は深く忘れてくれというほうが無礼だろう▼日本と韓国の関係を作家の早乙女勝元さんがたとえています。踏んだ者はつねに被害者の立場でものを考える姿勢が大事だと。早乙女さんは戦前、勤労動員の鉄工場で大勢の朝鮮人とともに働いた経験がありました▼彼らは過酷な労働を強いられ、食事も監視されながら粟(あわ)入りのコーリャン飯。なにかといえば労務係からののしられ、殴り蹴られる。そのときのアイゴー、アイゴーと血を吐くような悲鳴が遠い記憶のかなたから今も聞こえてくるといいます(『徴用工の真実』)▼日本による韓国への半導体材料の規制が両国の対立をいっそう激しくしています。政府は日本企業に賠償を命じた徴用工裁判とは無関係だと言い張りますが、安倍首相はこの措置が徴用工問題の報復であることを示唆しています▼話し合いもなく一方的だと批判した韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「過去の問題と経済問題を関連づけたことは関係発展の歴史に逆行する」。実際これまで会談の呼びかけに応じてこなかったのは安倍首相です▼南北や米朝会談と朝鮮半島に平和の流れがつくられ力を合わせるとき、蚊帳の外で隣国との関係も壊すだけの政権。早乙女さんは訴えます。加害者である日本の政府が忘れてならないのは過去を誠実に直視すること、なによりも人間としての道理を欠いてはいけない。


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