しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年7月11日(木)

主張

9条改憲と自衛隊

海外で血を流す軍隊にするな

 参院選の論戦を通じ、自民党が公約に掲げる「早期の憲法改正」の危険な狙いが一層鮮明になってきました。安倍晋三首相は憲法「改正」について、同党がまとめた▽自衛隊の明記▽緊急事態対応▽合区解消・地方公共団体▽教育充実―の4項目の「条文イメージ(たたき台素案)」を公約だと認めました。焦点は、9条への自衛隊明記です。首相は、現在の自衛隊の行動について「憲法の制約」のために「集団的自衛権のフル(全面的)な行使はできない」と述べています。この自衛隊への「制約」を取り除くところに改憲の本当の目的があることを示しています。

無制限の武力行使への道

 安倍首相の改憲の狙いを浮き彫りにしたきっかけは、6月下旬に来日したトランプ米大統領の発言です。同氏は日米安保条約に関し「日本が攻撃されれば米国はたたかわなければならないが、米国が攻撃されても日本はたたかう必要がない」と語り、こうした「不公平」を「変えるべきだ」と首相に伝えたことを明らかにしました。

 安倍首相は自民党幹事長時代に「軍事同盟というのは“血の同盟”」であるにもかかわらず、「自衛隊は、少なくともアメリカが攻撃されたときに血を流すことはない」とし、「日米安保条約を堂々たる双務性にしていく」「具体的には集団的自衛権の行使だ」と主張していました。(『この国を守る決意』2004年)

 日本共産党の志位和夫委員長がテレビの党首討論(7日)で、トランプ氏の発言は安倍首相のかねてからの持論だと追及したのに対し、首相は「憲法の制約があって完全な双務性にすることはできない。いわば集団的自衛権のフルな行使はできない」と答えました。

 自民党の改憲「条文イメージ」は、戦力不保持・交戦権否認を掲げた9条2項の後に「9条の二」を設け、「前条の規定は…自衛の措置をとることを妨げず」とした上で「自衛隊を保持する」と書き込むとしています。

 そうなると、9条そのもの、とりわけ2項の「制約」は自衛隊に及ばなくなり、「自衛の措置」を口実にした集団的自衛権の全面的な行使、海外での無制限の武力行使に道を開くことになります。まさに9条2項の死文化です。9条改憲の狙いが、世界中で戦争を起こす米軍のため、ともに「血を流す」自衛隊をつくることにあるのは明白です。

 安倍首相や自民党は、今回の参院選について「憲法を議論する政党か、議論しない政党か」が争点であるかのように主張します。しかし、それは全く違います。

 自民党の公約は「衆参の憲法審査会において…憲法論議を丁寧に深めつつ、憲法改正原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施し、早期の憲法改正を目指します」と明記しています。同党が憲法審査会開催を急がせる真の狙いは、改憲に向けた動きを加速させることです。安倍9条改憲を許すかどうかこそが参院選の大争点です。

国民の多くは改憲望まず

 今、憲法改定を求める声はどの世論調査を見ても少数です。多くの国民は、改憲を望んでいません。ましてや自衛隊を「海外で戦争する軍隊」にすることなどもってのほかです。改憲の企てを阻止するため、市民と野党の共闘の勝利、日本共産党の躍進が必要です。


pageup