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2019年7月10日(水)

きょうの潮流

 広い太平洋の島々を移り住んでいた古代ポリネシア人。航海技術に優れ、来年の東京オリンピックで採用されたサーフィンも彼らが始めたといわれています▼今やサーフィン愛好者は世界で数千万人にも。その多くにみられるのが頻繁に冷たい海水につかることで耳の中の骨が変形する外耳道骨腫です。サーファーズイヤーと呼ばれる特徴は石垣島の白保竿根田原(しらほさおねたばる)洞穴遺跡で見つかった旧石器時代人の人骨からも▼およそ30万年前、アフリカの大地で誕生した私たちの祖先は世界へ拡散していきました。日本列島に至るまでの経路は三つあったと考えられています。大陸から北海道、対馬、そして台湾から琉球の島々を伝わってきたルートです▼どうやって海を越えてきたのか。国立科学博物館のプロジェクトチームが3万年以上前の航海に挑み成功しました。当時の技術でつくったという丸木舟に男女5人が乗り、太陽や星、地形を手がかりに流れの速い黒潮も乗り越えて▼時をこえた実験は失敗を重ねながら新天地を求めた祖先の足跡に迫りました。代表の海部陽介さんは著書につづっています。「人類史の中では集団の移動と混血、文化の伝播(でんぱ)と相互作用がくり返されているため、事実上“純粋な民族”や“純粋な文化”は存在しない」▼現実社会にある特定民族の優越性を唱える声や政治的な思惑。しかしそれは勝手な線引きなのかもしれません。オリンピックが人類の祭典といわれるように、われわれは同じ星に暮らす地球人なのですから。


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