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2019年7月9日(火)

主張

カジノ法1年

参院選でストップに道開こう

 安倍晋三首相が「日本の成長戦略の目玉」と執着し、自民、公明両党と日本維新の会が、国民の強い反対を押し切ってカジノ実施法を強行成立させてから今月で1年となります。参院選を前にした先の通常国会では、カジノ問題が再度国会の焦点となることを避けた安倍政権の思惑で、カジノ開設に向けた動きが止まる皮肉な事態になっています。

反対世論にたじろぐ

 矛盾が露呈したのはカジノを統制する新たな行政組織として内閣府の外局に設置する「カジノ管理委員会」の人事についてです。

 政府は同委員会を今年7月1日に発足させる方針でした。今年度予算には同委員会立ち上げ費用29億円を盛り込み、職員95人の体制も決めていました。

 委員長1人、委員4人からなるカジノ管理委員会の選任には、国会の同意が必要です。予定通りの7月の同委員会発足のためには、先の国会で人事案を提出することが不可欠でした。

 しかし、安倍政権は参院選前に国会でカジノをめぐる議論が再燃することを嫌い、これを先送りしました。いまも国民の中に根強いカジノ反対の世論にたじろぎ、みずから決めたカジノ開設へのスケジュールを大きく遅らせざるをえなかったのです。

 カジノ実施法は昨年7月20日の国会で、世論調査でも国民の7割が「成立を望まない」とするなか強行されました。日本進出を狙う米国など海外カジノ資本や、その意をくんだ米トランプ大統領の要求を受けた安倍自公政権をはじめ、大阪へのカジノ誘致に狂奔する維新の会など国内の推進勢力が、「数の力」で押し通したのです。

 同法成立後もカジノ反対の世論は6~7割と高く、各地の誘致自治体で市民団体が行っている反対運動には、住民の広い支持が寄せられています。国民が望まぬカジノをごり押ししているところに、安倍政権やカジノ推進勢力が抱える根本的な矛盾があります。

 政府のカジノ推進本部(本部長・安倍首相)は昨年11月、カジノ誘致の主体となる全国の47都道府県、20政令市にたいして誘致の意向調査を実施しました。

 カジノを誘致すると明言したのは大阪府・市、和歌山県、長崎県のみです。水面下でカジノ誘致へ活発に動いている横浜市、北海道、東京都などが「検討中」としか回答できなかったことが示すように、住民のなかのカジノを忌避する強い世論が、自治体にカジノ誘致の明言をためらわせているのが現状です。

 ギャンブル依存症問題をはじめ治安や青少年への悪影響、国際観光に逆行する日本のイメージの悪化など、議論すべきことは山積しています。カジノ開設スケジュールを先送りするだけでなく、いまこそ根本的な議論をやり直し、カジノ解禁をやめるべきです。

国民の選択が重要

 カジノ実施法強行では、自民、公明、維新の会が賛成し、日本共産党など野党は一致してカジノ解禁に反対しました。今回の参院選公約でも、自民党がIR(カジノを中核とする統合型リゾート)の推進であるのに対し、日本共産党などはカジノ反対を明確に掲げています。

 参院選での国民の選択で、カジノをストップさせましょう。


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