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2019年6月19日(水)

論戦ハイライト

生きていけない 基礎年金3割減

参院財政金融委 小池氏の追及

 日本共産党の小池晃書記局長は18日の参院財政金融委員会で、老後2000万円の蓄えが必要とした金融庁の審議会報告書を麻生太郎金融相が「政府のスタンスと異なる」と受け取りを拒否した問題を追及。年金を自動削減する「マクロ経済スライド」によって基礎年金水準は今より3割低下することを明らかにして、「年金でまともな生活ができるように、マクロ経済スライドを廃止し、政府の責任でただちに年金の底上げをすべきだ」と迫りました。


報告書隠蔽 不信広げる

麻生氏「撤回せぬ」

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(写真)麻生太郎金融相(手前)に質問する小池晃書記局長=18日、参院財金委

 小池氏は、報告書が2000万円の蓄えが必要と算出した根拠が厚労省資料だったと指摘。世論調査では受け取り拒否を納得できないとする回答が7割に上っていることをあげ「報告書を受け取らないという対応が逆に、不安と不信を広げている」と強調しました。

 小池 国民の不安を解消するために受け取りを拒否したというが、その対応が不安を解消したのか。

 麻生金融相 世論調査の信頼性がどの程度あるかはわからないが、(報告書を)受け取ればさらに不安を招くと判断した。

 小池氏は、事実を隠蔽(いんぺい)しようとするから、不安と不信が広がると指摘。報告書に関する野党議員の質問主意書に対し、「『正式な報告書』として受け取っていないので答弁できない」という答弁書を安倍内閣が閣議決定したことをあげ、「こんな閣議決定は撤回すべきだ」と迫りました。

 麻生金融相は「撤回するつもりはない」などと強弁。小池氏は「それこそ隠蔽ではないか」と重ねて批判しました。

都合悪い数字 ごまかし

審議官「算数弱い」

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(写真)事務方のアドバイスを受ける麻生太郎金融相(右)=18日、参院財金委

 また、小池氏は、マクロ経済スライドによる給付抑制の影響が最も大きいのが基礎年金の給付水準だと指摘。公的年金は基礎年金(国民年金)と報酬比例部分の2階建てになっていますが、2043年には、基礎年金は今の給付水準よりも3割低下し、6万5000円から4万円台にまで減るとただしました。

 厚労省の度山徹審議官 算数に弱いのでパッと割り算できない。

 小池 国民を愚弄(ぐろう)する許しがたい答弁だ。

 与党席からも批判の声が上がり、審議がいったん中断しました。

 小池氏は、都合の悪い数字をごまかそうとする政府の答弁姿勢を厳しく批判。度山審議官はしぶしぶ「(低下は)およそ3割程度」と認めました。

 小池氏は、金融審議会ワーキンググループ委員で、厚労省の社会保障審議会委員もつとめる駒村康平慶応大学教授が「今のマクロ経済スライドを受けると社会保障給付の19万円は、おそらく15万円ぐらいまで団塊ジュニア世代から先は下がっていく」「月々の赤字は5・5万円ではなくて、団塊ジュニアから先の世代は10万円ぐらいになってくるのではないか」と指摘していることをあげ、次のようにただしました。

 小池 現実には、この通りになるのではないか。

 度山審議官 マクロ経済スライドの設計思想を抜きにした静態的な計算だ。私どもは、そのような計算で将来の年金水準を説明していない。

 小池 年金の専門家である審議会委員の発言を全面否定するとは、あまりにひどい答弁だ。

 小池氏は、報告書を否定しようと躍起になる政府の姿勢を厳しく批判。「基礎年金が今よりも3割低下すれば、基礎的消費支出にはるかに遠く及ばない水準になってしまう。そのことを率直に認めるべきだ」と強調しました。

検証結果 選挙前に出せ

麻生氏「言えない」

 さらに、小池氏は、将来の公的年金の財政見通しを示す「財政検証」の公表が遅れている点を追及しました。

 財政検証は5年に1度おこなわれるもので、前回は2014年6月3日に公表されたのに、それから5年がたってもいまだ公表されていません。小池氏は、厚労省が一定の制度改定を仮定した試算(オプション試算)をしているため、公表に時間がかかると言い訳していることについて、前回もオプション試算をおこなったのに6月3日に公表されたとただしました。

 小池 基礎的なデータはそろっているはずだ。選挙前には出したくないなどと、公表を遅らせるのは許されない。

 厚労省の上野宏史政務官 数値の点検作業を慎重に行う必要があるため、財政検証本体のみを先に出すことは困難だ。

 小池 年金への不安が高まっているのだから、副総理として選挙前に出すよう指示すべきだ。

 麻生金融相 選挙までに出せるかどうかをいう段階にはない。

 小池氏は、麻生金融相の姿勢を厳しく批判。安倍政権が使う「100年安心の年金」とは、国民に100年安心できる水準の年金を保障するものではなく、給付水準を自動的に削減していくから、100年間制度を維持することができるという話にすぎないとして、「『誤解を招く』というのであれば、『100年安心の年金』ほど誤解を招く言葉はない」「使うのはやめるべきだ」と迫りました。

 麻生金融相はここでも「『100年安心』という言葉を取り下げることはしない」と主張。小池氏は「そういう態度こそ国民の年金不信をあおっている。事実を示して、年金制度のあり方を正面から問うべきだ」と強調しました。

 そのうえで、小池氏は、年金制度の立て直しを示した日本共産党の提案を安倍晋三首相が10日の参院決算委で「日本経済は相当なダメージを受ける。バカげた政策だ」と否定したことについて、「こんな景気後退局面で消費税を上げることの方が、よっぽどバカげた政策だ。日本経済に相当なダメージを与える」と指摘。消費税に頼らず、富裕層と大企業に応分の負担を求めるよう主張しました。


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