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2019年6月13日(木)

国会の視点

予算委拒否は責任放棄

逃げ回る安倍首相 未解決問題山積のなか

 「審議拒否はしていない」。菅義偉官房長官は10日の記者会見で、安倍晋三首相が「お笑い芸人」を首相官邸に呼び込んで楽しみながら、衆参予算委員会への出席を拒んでいるとの批判に対し、こう否定しました。

 しかし、審議拒否していないと胸を張れるのか。今国会では毎月勤労統計の不正など数多くの未解決の問題が山積し、消費税10%増税問題、日米、日ロ、日朝外交など安倍政治の矛盾と破綻が鮮明になっているにもかかわらず、国政の重要問題全般を議論する予算委員会が、衆院では3月1日以来100日以上、参院でも80日近くも与党側の拒否で開かれていないのです。

 さらに、新たな問題が浮上。(1)95歳まで夫婦世帯で約2000万円が不足するという金融庁金融審議会の報告書(2)陸上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」配備の「適地」選定をめぐるデータの重大な誤り(3)国家戦略特区のワーキンググループ座長代理が特区申請団体を指南し、協力会社がコンサルタント料を受け取っていたなどの疑惑――。いずれも国政や国民生活にかかわる重大問題です

 (1)をめぐっては、参院決算委(10日)で、日本共産党の小池晃書記局長が「100年安心」の年金をうたってきた政府に対し、「『自己責任で貯金せよ』というのは国家的詐欺に等しい」と批判。首相は「では、どうしたらいいというのか」などと答弁不能に陥りました。麻生太郎金融担当相に至っては、報告書は「政府の政策スタンスとも異なる」などと受け取りを拒否する始末です。

 (2)は、イージス・アショアの配備先を陸上自衛隊新屋(あらや)演習場(秋田市)ありきで決めるためのねつ造疑惑も浮上し、住民の強い批判と怒りを招いています。

 (3)は、加計疑惑を招いた国家戦略特区の闇の解明にもつながる疑惑であり、徹底追及が必要です。

 すでに委員会開催を義務づける3分の1の委員の要求を野党が突きつけている参院予算委の理事懇談会(12日)では、自民党理事が安倍首相が出席する集中審議の開催には応じないとの態度を示しました。与党の国会運営の司令塔は、自民党総裁の安倍首相です。野党側は、自民党が首相出席の審議を拒否しているのは、安倍首相本人が逃げ回っていることを示すものだとして、引き続き集中審議開催を求めています。

 憲法66条によって、内閣は行政権行使について国会に責任を負っており、国会の行政監視を受けるのは政府の憲法上の責務です。予算委での質疑から逃げ回る安倍首相の姿勢は、行政府の長としての重大な責任放棄といわなければなりません。(林信誠)


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