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2019年6月11日(火)

憲法を生かして希望ある日本をつくろう

若者憲法集会 志位委員長のスピーチ

 日本共産党の志位和夫委員長が9日、東京都内で開かれた「若者憲法集会」で行ったスピーチは次の通りです。


写真

(写真)スピーチする志位和夫委員長=9日、東京都港区

 みなさん、こんにちは。(「こんにちは」の声)

 日本共産党の志位和夫です。

 今日は、憲法を生かして希望ある新しい日本をつくろうという訴えをさせていただきます。

 憲法にはたくさんの大事な条文がありますが、今日は五つの条文にふれてお話をしていきたいと思います。

■憲法9条

この宝物を生かした平和日本にこそ希望がある

 第一は、やっぱり憲法9条です。

 憲法9条は、第1項には「戦争放棄」と書いてありますね。ここまでだったら国連憲章にも書いてあることで、いわば「グローバルスタンダード」ですけれども、世界で日本にしかない第2項を持っていますよね。「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」

 ここまで進んだ恒久平和主義の憲法をなぜ日本が持ったのかといえば、過去に侵略戦争をおかして、2000万人ものアジアの人たち、310万人の日本人の犠牲者をだした。その反省の上に、「二度と戦争はしません」と世界に誓った国際公約が、憲法9条にほかなりません。

 それにくわえてもう一つ、事情があります。広島、長崎に原爆が落とされました。この体験を踏まえて、「原子爆弾が誕生したもとでは、文明の力で戦争を滅ぼさなかったら、戦争によって文明が滅ぼされてしまう」―こういう立場に立って、世界中のどこにも、広島、長崎のようなこの世の地獄を再現してはならない。こういう決意も憲法9条には刻まれているのです。

 そういう世界に誇る素晴らしい宝物を、私たちは持っているということを、まずお伝えしたいと思うのです。

 そのうえで、戦後、この憲法9条は、どんな役割を果たしてきたのか。日本には自衛隊という軍隊があります。しかし、世界の主要国の軍隊のなかで、ただの一人の外国人も殺していない、ただの一人の戦死者も出していない。こういう軍隊は日本だけです。なぜそうなったかといったら、平和を願う国民の世論と運動とともに、やっぱり9条の偉大な力が働いた結果だと思います。この宝物をほうり投げて、「戦争する国」にしていいのか。

 安倍首相はよくいいます。「自衛官の子どもが悲しむ」。だから9条に自衛隊を書きこまなければならない。しかし、みなさん、子どもが一番悲しむのは、お父さんやお母さんが戦争に行って、命を落とすことじゃないですか。そういう点では、自衛隊員の命をも守ってきたのが、9条ではないですか。(拍手)

 みなさん。9条を壊すことでなく、9条を生かした平和日本をつくることこそ希望があります。9条を生かし、朝鮮半島の非核化、北東アジアに平和の体制をつくる平和外交こそ、日本政府は取り組むべきではないでしょうか。核兵器禁止条約を発効させるために、唯一の戦争被爆国の政府として、その先頭に立つのが日本政府の役目ではないでしょうか。(拍手)

■憲法13条

だれもが尊厳を持ち自分らしく生きられる社会を

 第二にあげたいのは、憲法13条なのです。「すべて国民は、個人として尊重される」と書いてあります。「個人として」というところが大事なところで、一人ひとりはみんな個性があるじゃないですか。みんな素晴らしい個性を持っている。すべての国民はあるがままの個人として尊重される。個人の尊厳を守っていくというのが憲法13条なのです。日本国憲法には30条にわたる豊かな人権条項がありますが、そのなかでも憲法13条は最も大切な意義を持つ条項なのです。

 この憲法13条の精神を生かして、いろいろな市民の運動が起こっているというところが、私は、素晴らしいと思うんですよ。「ジェンダー平等」を求める大きなうねりが起こっています。性暴力やハラスメントに勇気をふりしぼって声をあげる方々が広がっています。そして、そういう方々を絶対に孤立させてはいけないと、連帯する運動が、「#MeToo」「WithYou」などを合言葉にして広がっていることは、日本の社会にとっての大きな希望ではないでしょうか。(拍手)

 こういう運動を大いに広げていきましょう。憲法13条―個人の尊厳を保障する政治をつくりましょう。あらゆる差別をこの社会からなくし、だれもが尊厳を持ち自分らしく生きられる社会を、ご一緒につくろうではありませんか。(拍手)

■憲法25条

8時間働けばふつうに暮らせる社会を

 第三にあげたいのは、憲法25条です。「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」。国民の生存権を高らかにうたっています。この条項は、生活保護をはじめ社会保障を良くしていく土台となっている条項ですが、みなさんが取り組んでいる最低賃金を引き上げようという運動の土台にもなっています。

 「最低賃金は、全国どこでもいますぐ時給1000円以上に引き上げ、1500円以上をめざし、全国一律の最低賃金をつくろう」。このことを合言葉にがんばりたいと思います。

 時給1500円という目標は、ひらたくいいますと、「1日8時間働いて、週休2日で、月収25万円」ということですよね。これはみなさん、目標としてあまりにも当たり前の目標じゃないですか。

 憲法25条を生かし、「8時間働けばふつうに暮らせる社会」を一緒につくろうじゃありませんか。(拍手)

■憲法26条

すべての若者がお金の心配なく、安心して学べる日本を

 第四にあげたいのは、憲法26条です。「すべて国民は、……ひとしく教育を受ける権利を有する」。教育の機会均等の原則が書いてあります。

 しかし、この原則は守られていませんね。大学の学費が高すぎる。奨学金が重すぎる。これをなおさなければいけません。

 ところが、安倍政権が「大学無償化」といって宣伝しているのは、まがいものなんですよ。大学の学費値上げは容認する。一部減免の制度をつくるけれど、学生の1割にしか適用されない。しかも、財源は消費税の値上げというんですから、これをもって「大学無償化」というのは、あまりにもずうずうしい話じゃないですか。(拍手)

 すべての学生を対象に、いますぐ学費を半分にする。そして段階的に無償化をめざす。奨学金については、月3万円の返済不要の給付制奨学金をつくり、70万人が使えるようにする。

 こういう改革をやって、すべての若者が、憲法26条を生かして、お金の心配なく安心してのびのびと学べる日本をつくっていこうじゃありませんか。(拍手)

■憲法1条

時代を変え、社会を変えるのは、主権者・国民のたたかい

 さて、みなさん、最後は何でしょう。まだほかにもいろいろと大事な条項があるんですが、私は、憲法1条をあげたいと思います。

 憲法1条といったら、もっぱら天皇の地位が書いてある条項と読まれがちです。しかし、この条項の眼目はそうではない。もっと大事なことが実は書いてあるんです。日本の国の「主人公」は国民だ―国民主権が書いてあるのです。国民主権は憲法の前文に書いてありますが、条項のなかで書いてあるのは、この憲法1条だけなんです。

 憲法1条には、天皇と国民の関係について、こう書いてある。天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」。これは、将来、「国民の総意」が変わったら天皇の地位も変わりうることを示しているものです。そのくらい、「国民が主人公」ということをはっきり書いたのが憲法1条なんです。

 この国の「主人公」はみなさんであり、私たちであり、つまり国民です。国民主権こそが、日本国憲法のなかでもいちばん大事な原則だということを、あらためて確認しようじゃありませんか。(拍手)

 この点で私が危惧しているのは、安倍政権の姿勢です。安倍首相は、この間、次のようにいっています。「令和の時代が始まった。新しい時代が始まった。それにふさわしい憲法をつくろう」

 これはおかしいですね。みなさん、元号が変わったことと憲法改定が何か関係がありますか。関係ないですよね。何一つ関係はありません。「令和の時代」が始まった、「新しい時代」だといって憲法9条を変えるというのは、憲法が固く禁じた天皇の制度の最悪の政治利用ではないでしょうか。絶対に許しちゃなりません。(拍手)

 それから、こういう議論があります。「新しい元号になった。だから時代が変わる、社会が変わる」。しかしみなさん、私は、これは一つの錯覚だと思うんですよ。元号が変わったって、安倍政権がやっている暮らしや平和や民主主義を踏みつぶす政治が一つでも変わりますか。変わりませんよね。そういうことで社会は変わったりしない。

 時代を変え、社会を変えるのは、主権者である国民のたたかいです。みなさんのたたかいです。私たちのたたかいです。たたかうことでこの日本を、本当に希望のもてる社会に変えようではありませんか。(拍手)

 いま、「安全保障関連法に反対する学者の会」の西谷修さんからも訴えがありましたが、参院選で全国32の1人区で野党統一候補ができました。全部で自民党に打ち勝ちたいと思います。私たち共産党も大いに躍進したい。

 今度の参議院選挙を、「国民こそ主人公」―主権者・国民が大いに力を発揮して、若いみなさんが希望がもてる方向に日本の政治を変える選挙にしていくために、がんばろうではありませんか。私自身も力をつくしたいと決意していますが、若いみなさんが新しい日本をつくる先頭に立っていただくことを心から期待するものです。ともにがんばりましょう。(大きな拍手)


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