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2019年6月8日(土)

きょうの潮流

 決定的な瞬間になると、「女」というレッテルがさっと飛び出してくる。視線をさえぎり、伸ばした手をひっつかんで進行方向を変えさせてしまう―▼人生のさまざまな場面で女性がぶつかる差別や不平等。韓国社会のなかでその実態を描いた『82年生まれ、キム・ジヨン』が日本でも多くの読者をひろげています。“これは私の話だ”という共感とともに▼家や学校、職場。就職や結婚、出産…。そのたびに性差別に直面し、苦しみ悩む女性たちの姿をつづった小説は韓国で100万部をこえるベストセラーに。キム・ジヨン法案と呼ばれる雇用や保育関連の法令が国会で発議されるなど社会を動かす力にもなっています▼「自分をとりまく社会の構造や慣習を振り返り、声をあげるきっかけになってくれればと願っています」。今年2月に来日した著者のチョ・ナムジュさんは、日本の読者に向けてこんなメッセージを寄せていました(『女性のひろば』5月号)▼小説には、女子生徒にだけ服装に厳しく革靴を強いる中学時代の体験がつづられています。それを思い出したのは、最近日本でもヒールの高い靴が職場で強制されるのはおかしいとの運動が起きていることから。入試差別の訴訟や性暴力を告発する声も次つぎに▼性差による差別のない社会へ。チョさんは「女性が個人で解決するものではなく、社会が向き合うべき問題」だと。日本で出版された小説の表紙は顔のない女性。そこに自分の顔を描くのは、私たち自身だというように。


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