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2019年6月5日(水)

きょうの潮流

 小学生ら20人が死傷した痛ましい事件から1週間がたちました。川崎市の現場には今も花が手向けられ、悼む姿が絶えません▼遺族や傷つけられた子どもたちの心身のケアはこれからが大事です。それは不安におびえる人びとも同じでしょう。二度とあってはならない―。同じ思いを抱きながら、はっきりとした道筋が見えないもどかしさ。そのなかで偏見を助長するような風潮もみえます▼50代の容疑者がひきこもり傾向にあったと伝えられたことから、ひきこもりをどうにかしろなどという乱暴な声も。「息子はひきこもりがちで家庭内暴力もあった」「川崎の事件を知って息子も人に危害を加えるかもしれないと思った」。長男を殺害したとされる元農水事務次官の供述も切実です▼事件をめぐって聞こえてくるこうした声が、さまざまな事情を抱えてひきこもり状態にある人や家族をますます追いつめてはいないか▼「ひきこもりだろうが、家庭内暴力があろうが、殺害することは絶対に許されない。恥だと思わずに外部機関とつながってほしい。誰も一人で死ぬべきでも、殺すべきでもない」。社会的弱者の支援活動を続けるNPO法人代表の藤田孝典さんはいいます▼内閣府の調べではいまや中高年のひきこもりは60万人余にものぼり、若年層を上回ったと。80代の親が50代の子を養う「8050問題」も深刻です。国からも置き去りにされ、SOSも出せずに社会から孤立していく人たち。自己責任だと済ますことはできない現実です。


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