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2019年6月3日(月)

主張

エネルギー政策

大転換こそ未来への希望生む

 地球温暖化対策が世界の重要テーマとなるなかで、「脱炭素社会」実現へのカギとなる再生可能エネルギーの普及・拡大の動きが各国・各地域で加速しています。高コストがあらわになり見直しがすすむ原発と対照的です。ところが安倍晋三政権のエネルギー政策は、依然として原発や石炭火力に固執し、再エネ普及では大きく立ち遅れています。再エネ拡大にかじをきる政治への転換が必要です。

世界では再エネが急加速

 再エネの広がりは急速です。ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスは、発電量構成に占める太陽光、風力など再エネの割合は現在の20%強から、化石燃料からの切り替えがすすむにつれ、2050年には64%を占めると予測します(『週刊東洋経済』5月18日号)。東京電力福島第1原発事故後、「安全対策費」の高騰などでコストがかさむ原発に対し、再エネのコストは大きく低下し、成長産業として世界全体の投資額も大きく増加しています。

 原発は巨大企業を中心とするシステムです。一方、再エネは地域に根差したエネルギーという特徴をもっています。地域の中小企業が主役になって担うことができ、地方経済の発展にもつながります。

 昨年の北海道地震の全域停電は、大規模集中発電から分散型への転換の必要性を示しましたが、分散型のエネルギー源としても再エネは重要です。なにより、日本では気候と自然を生かし、再エネを推進できる大きな潜在力をもっています。

 雇用効果でも、再エネは原発をはるかに上回ります。福島原発事故前に50基以上の原発が稼働していたとき、日本の原子力関係従事者数は、約4万6千人(10年度)でした。これにたいし、原発や石炭から撤退をすすめるドイツでは、再生エネに携わる雇用者数は33万2千人(17年)に上ります。アメリカでも自治体などで再生エネ普及がすすみ、雇用者は約78万6千人(同)です。けた違いです。

 再エネ普及に後ろ向きの安倍政権の姿勢は、昨年決定した「エネルギー基本計画」で、原発や石炭火力発電を「ベースロード(基幹)電源」に位置づけたことに示されています。再エネは「主力電源化」するといいながら、30年時点でも電源構成の22~24%にとどまり、世界でも低い比率になっています。

 エネ基本計画にしがみつく弊害は、温暖化対策の遅れに表れています。「パリ協定」に基づき策定中の「長期戦略」は、脱炭素の目標達成が不明確で、石炭火力依存、原発推進から抜け出せません。世界の流れに逆行したままでは責任は果たせません。

参院選を転換の機会に

 気候変動対策に真剣にとりくめと、各国政府に迫る世界中の高校生らによる「気候スト」は、5月末にも125カ国で180万人が参加しました。行動のきっかけをつくったスウェーデンの16歳の高校生、グレタ・トゥーンベリさんは、昨年12月の国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)で、「あなたたちは、子どもたちの目の前で彼らの未来を奪おうとしている」と訴えています。再エネ拡大、脱炭素は急務です。

 今度の参院選を、原発と石炭火力に固執する安倍政権を終わらせ、「原発ゼロ」、再エネ拡大へ転換する機会にしていきましょう。


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