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2019年5月27日(月)

公明一転、「都」構想賛成

大阪 来秋にも住民投票へ

維新と合意

 大阪市を廃止・分割する「大阪都」構想をめぐり、大阪維新の会代表の松井一郎大阪市長と公明党大阪府本部代表の佐藤茂樹衆院議員が25日、大阪市内のホテルで会談し、公明党はこれまで反対を表明していた「都」構想に賛成する立場に転じました。

 会談後、松井、佐藤両氏らが共同記者会見をしました。松井氏は、維新側から▽「都」構想に賛成の立場から法定協に参加してほしい▽法定協議会で1年をめどに協定書をとりまとめる▽まとまった協定書を速やかに可決し住民投票を実施する―という3点を要望し、公明党が了承したと述べました。住民投票実施は来年秋冬をめざす考えに変わりはないとしました。

 佐藤氏は「(維新が知事・市長ダブル選で)『都』構想に再挑戦させてほしいという公約を掲げて勝ったのは間違いない。予想をはるかに上回る強い民意」を感じ、11日に住民投票実施に協力すると発表したと説明。「都」構想そのものには、これまで反対してきたので原案のままでは賛成できないとして、前提条件に(1)住民サービスが低下しない(2)特別区設置のコストはできるだけ最小限にする(3)現行の区役所の役割・機能を維持し窓口サービスを低下させない(4)児童虐待防止対策のために全特別区に児童相談所を設置する―という4点を提示し、維新からすべて合意するという返事を得て「特別区設置(=『都』構想)賛成の立場から前向きな議論をさせていただきたいという結論に達した」と述べました。


解説

公明党の苦しい弁明

 「大阪都」構想をめぐり公明党は維新に屈服しました。先の知事・大阪市長ダブル選では「百害あって一利なし」と痛烈に批判した「大阪都」構想に一転して賛成する理由は苦しいものでした。

 公明党の佐藤茂樹代表は「強い民意」を挙げましたが、2015年の住民投票で「大阪都」構想は否決され、先の統一地方選でも大阪市議選で維新は過半数を得ることができませんでした。根強い大阪市民の「大阪都」構想反対の民意は無視するのでしょうか。

 賛成に転じる前提として公明党が維新と合意したという4条件は「百害」を消し去るものではなく、大阪市をなくすことに変わりはありません。4特別区案は両党で議論もされておらず、特別区設置のコストについても維新の松井一郎代表は「われわれは投資と考えているが、(『都』構想)賛成の立場から(公明党と)前向きな議論ができる」とし、児童相談所の全特別区設置はすでに四つ目の児童相談所が計画されており、4特別区に対応します。

 住民サービス低下や特別区設置コストを懸念するなら「大阪都」構想そのものを断念させるべきです。同構想は政令市である大阪市を廃止し複数の特別区にバラバラにし、権限も財源も「都(府)」に吸い上げ、「1人の指揮官(知事)」の下でやりたい放題のことができる体制をつくることが狙いです。どんな「修正」もその根幹を変えるものではありません。

 記者会見で、記者から「『民意』で公明党を屈服させたお気持ちは」と聞かれて松井氏がムッとする場面も。佐藤氏は衆院選と大都市制度の問題は「まったく次元の違う話」としましたが、維新はこの間、公明党が「都」構想に賛成しなければ、公明党が現職議員を持つ関西の6衆院選挙区に対抗馬を立てる準備があるとけん制し続けてきました。公明党の今回の「屈服劇」を、公明党支持者はどう見ているのでしょうか。(辺)


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