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2019年5月26日(日)

主張

政府月例経済報告

経済情勢の悪化は隠せない

 安倍晋三政権が5月の月例経済報告で、景気の現状判断を4月までの「輸出や生産の一部に弱さも見られるものの、緩やかに回復している」との見方から、「弱さが続いている」と下方修正しました。景気の後退を認めたくないため、「緩やかに回復」という表現は変えなかったものの、景気「悪化」を認めた3月の景気動向指数や、内需や輸出入の不振を示した1~3月期の国内総生産(GDP)に続き、経済情勢悪化は隠せません。安倍政権は10月からの消費税の10%への引き上げに固執しますが、このような中での大増税はあまりにも無謀です。

日本も世界も景気悪化

 消費税を3%で導入した1989年4月も、5%に増税した97年4月も、8%に増税した2014年4月も、月例経済報告は経済情勢について、「拡大局面」「回復の動きを強めている」「緩やかに回復しつつある」としていました。安倍政権が15年10月に予定した10%への増税を2回延長した時も、月例経済報告は「緩やかな回復基調」という判断でした。2カ月ぶりの「下方修正」という、景気悪化が鮮明になる中での消費税増税は、かつてないことです。

 もともと消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進的な悪税です。政府自身が、景気「拡大」「回復」と判断していた中での過去の導入・増税でも、深刻な消費不況を起こし、経済を落ち込ませました。今回は景気後退の局面で、消費税を10%に引き上げ、5兆円近い負担を国民に押し付けようというのです。国民のくらしと日本経済を、破綻させることは明白です。

 世界の主要国でつくる経済協力開発機構(OECD)は21日公表した最新の世界経済見通し(エコノミックアウトルック)で、今年の経済成長率を、世界全体では3・2%、日本では0・7%にそれぞれ3月より下方修正しました。米中貿易紛争などに引きずられて、世界経済は弱い状態が続いています。

 そんな中で日本が消費税増税を強行すれば、世界経済にも悪影響を及ぼします。増税は“世界の流れ”を無視する愚かな道です。

 安倍政権内も、増税に動揺しています。首相の側近中の側近、萩生田光一自民党幹事長代行は、6月の日本銀行の短観(7月1日公表予定)の結果次第では「延期もありうる」と言いました。日本銀行の前副総裁らも、反対を表明しています。

 今からでも増税は止められます。本来、税の在り方を決めるのは、主権者・国民です。最近の世論調査でも国民の多数は、増税に反対しています(「朝日」21日付では「反対」が64%)。民意に逆らう増税は絶対に許されません。

くらしに希望持てる政治

 今求められているのは、家計の負担と不安を軽減する家計応援の政策と、格差と貧困を是正する政策です。日本共産党は、消費税増税中止とあわせ、(1)8時間働けばふつうにくらせる社会を(2)くらしを支える社会保障を(3)お金の心配なく、学び、子育てができる社会を―の、三つを提案しています。

 その財源は、消費税に頼らなくても、大企業と富裕層に応分の負担を求めることや兵器の“爆買い”や米軍への「思いやり」予算を削減することで、確保できます。

 増税を中止させ、くらしに希望が持てる政治を実現しましょう。


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