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2019年5月18日(土)

きょうの潮流

 政治が変われば暮らしは変わる。そんな希望を感じさせる動きです。昨年12月に政権交代したメキシコ。貧困削減や不平等解消を掲げる政権のもと上下両院は家事労働者の権利を抜本強化する労働法改正案を可決しました▼雇われて掃除、洗濯、子守などに従事する家事労働者はメキシコ全体で約230万人。9割は女性です。1日働いても報酬は古着の現物支給。賄い付きを口実にした賃金支払いの拒否。雇い主や家族からの暴言や嫌がらせ。家庭内という他人の目が届かない職場は無法地帯でした▼改正労働法は雇用の際に書面での契約を義務付けました。最低賃金、有給休暇、産休など一般労働者と同等の権利を認めます。15歳以下の子どもの雇用は禁止しました▼「私たちの尊厳がやっと認められた」。9歳の時から箒(ほうき)や床モップを手に働いてきた60代の家政婦の声です。家事労働者は奴隷のように働かされており、法律による権利保障が必要だ―。人権団体が数十年間訴えてきた要求が実り始めました▼新自由主義からの転換を掲げ「国民に奉仕する政府をつくる」と語るロペスオブラドール大統領。豪華すぎる大統領専用機の売却や最低賃金の引き上げなどを進めています。家事労働者の保護も、その政策の一環です▼著しい経済格差や犯罪組織の暴力など、まだまだ無数の課題を抱えるメキシコ。しかし国民が選んだ新しい政治は新たな時代を切り開きつつあります。弱い立場の人々へ手を差し伸べる本当に人間らしい社会に向かって。


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