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2019年5月16日(木)

主張

丸山氏の戦争発言

議員の資格がないのは明白

 日本とロシアとの領土問題をめぐり、日本維新の会の丸山穂高衆院議員が「戦争しないとどうしようもなくないですか」などと繰り返した暴論は言語道断という他ありません。戦争放棄を定めた憲法9条はもちろん、99条の国会議員の憲法尊重擁護義務に真っ向から反する違憲の言動であり、国会議員の資格を完全に欠いています。維新の会は、丸山議員を除名しましたが、それでは済みません。同氏が国会議員にとどまることは絶対に許されません。

「戦争」の言葉しつこく

 丸山議員の暴言は、ロシアに不法占拠されている南千島の国後島をビザなし交流で訪問した際の11日、元島民らとの懇談会の席でのものです。同行記者団が訪問団団長を取材していたところ、丸山議員が割り込み「戦争でこの島を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」と団長に質問し、団長が「戦争なんて言葉は使いたくない」などと答えると、丸山議員は「戦争しないとどうしようもなくないですか」などとしつこく述べたことが、音声データから明らかになっています。「ロシアが混乱しているときに、取り返すのはオーケーですか」とも発言しています。

 戦争による「領土奪還」をあからさまに口にしていることは疑問の余地がありません。丸山議員は問題が表面化した後、「自分自身の意見ではない」と釈明しましたが、一連のやりとりは、“確信犯”であることを浮き彫りにしています。

 憲法は前文で、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意」と宣言し、9条では「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と明記しています。戦争に訴えて領土を取り返すことを露骨に求めた丸山議員の主張は、憲法とは全く相いれない暴論であることはあまりに明瞭です。さらに99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。二重三重に憲法を踏みにじった丸山議員は、国会議員を辞任する以外に道はありません。

 戦争で紛争解決というのは、国際的にも通用しません。国連憲章は、戦争違法化の立場から加盟国に「国際紛争を平和的手段によって解決する」ことを求めています。だいたい74年前の戦争で島を追われ、その悲惨さを身をもって知る人たちに向かって戦争をけしかける言葉を発すること自体、許し難いものです。そうした歴史も理解できない丸山議員は、政治家としての資質も根本から疑われます。

憲法破壊政治の危険明白

 丸山議員が、改憲勢力である維新の会の“論客の一人”だったという事実は重大です。維新の会は、9条改憲を狙う安倍晋三首相と連携・呼応し、改憲のお先棒を担ぐ役割を果たしています。

 安倍首相が憲法尊重擁護義務に反して国会に改憲議論を迫る先頭にたつなど、立憲主義破壊の政治を横行させていることと、丸山議員の違憲発言は、無縁といえるのか―。憲法を壊し、ないがしろにする政治の危険は明白です。

 丸山氏を選挙で公認し議席を与え、活躍と発言の機会を与えてきた維新の会の責任を決してあいまいにすることはできません。


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