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2019年5月15日(水)

沖縄復帰47年 続く安保絶対・県民無視

元琉球政府復帰対策室調査官 平良亀之助さん語る

米追従政治打倒へ オール沖縄に期待

 「沖縄は確かに日本に復帰して47年たちます。でも、何が変わったのでしょうか。沖縄では今も“日本の平和憲法あってなきがごとし”ではないでしょうか」―。元琉球政府復帰対策室調査官の平良亀之助さん(82)は、復帰前の日米両政府と今日の安倍政権の姿勢や手法が重なると強調します。


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(写真)アメリカいいなり政治と安倍政権の打倒を訴える平良亀之助さん

 「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、日本にとって戦後は終わっていない」と口にしながら、米軍基地の即時全面返還を求める県民の意思を無視し、基地押し付けのままにした復帰当時の佐藤栄作首相。「県民の気持ちに寄り添い、基地負担の軽減に向けて結果を出していきたい」と述べながら、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を強行する現在の安倍晋三首相―。

新基地ノー明確

 2人の首相に共通するのは日米安保条約絶対視、沖縄県民を無視する政治姿勢だと、平良さんは批判し、「負担軽減というのは基地を造らないということ。沖縄のこれまでの選挙で、新基地はノーだと明確に答えは出ている」と訴えます。

 琉球新報の記者を辞めた後に琉球政府復帰対策室の調査官の一人に任命された平良さん。自ら関係した、ある“秘話”について改めて強調します。

 「1971年9月30日に復帰対策室で、一人の職員が妙な仕草で机の上の資料に覆いかぶさっているのを見た。それが沖縄側にそれまで全く知らされていなかった沖縄返還協定・関連法案であることに気付いた」

 同法案には、沖縄にある米軍基地の「即時無条件全面返還」の文字などはなく、納得できる内容ではありませんでした。

 平良さんらは「沖縄の要求を政府に伝えるべきでは」と、屋良朝苗・琉球政府行政主席に進言。屋良主席はプロジェクトチームを創設し、「復帰措置に関する建議書」を完成させます。

悲願何としても

 平和憲法の下での基本的人権の保障と、「基地のない平和の島としての復帰」を強く求めた同建議書。悲願を何としても国政の場で伝えたい自覚的な県民の努力で誕生した歴史的文書だったのです。しかし、建議書を携えた屋良主席の国会到着前に、衆院特別委で自民党が沖縄返還協定などの採決を強行しました。平良さんはこう振り返ります。

 「日本政府は米国との密約で復帰後も沖縄への核の有事持ち込み、米軍の継続駐留を容認した。建議書を国会で議論すれば、核持ち込みと基地の継続使用が隠せなくなる。だから強行採決で建議書を事実上、葬った」

 平良さんは、復帰後も沖縄で基地や軍事的機能を強化・拡大するアメリカいいなり政治と安倍政権の打倒に向けて、沖縄の復帰を実現させた「島ぐるみ闘争」を受け継ぐ新基地反対の「オール沖縄」に期待を込めます。

 「昨年の県知事選、県民投票、衆院沖縄3区補選での勝利の流れを参院選でも発揮し、タカラ鉄美予定候補の勝利でオール沖縄の議席を確保することが、安倍政権の暴走を止める大きな力になります」(山本眞直)

事件・事故なおも

基地撤去に応えぬ安倍政権

 15日で沖縄が本土に復帰(1972年5月15日)して、47年を迎えます。いまだに全国の約7割の米軍専用施設が沖縄にあり、県民は基地あるが故の事件・事故の恐怖にさらされています。

 加えて安倍政権は、県民の民意を無視し、埋め立て土砂を海に投入するなど米軍新基地建設(同県名護市辺野古)を強権で推し進め、豊かな自然と民主主義・地方自治を破壊する道理なき行為を続けています。

 沖縄県知事公室基地対策課編集の『沖縄の米軍基地』(2018年12月発行)によると県下41市町村のうち21市町村に32施設、18822・2ヘクタールの米軍基地が所在し、県土面積の8・3%を占めています。

 全国にある米軍が常時使用できる専用施設の70・4%が沖縄県に集中し、「過重な基地の負担を負わされていることが分かる」と指摘。都市づくりや交通の整備、産業用地の確保など沖縄県の「振興を推進する上で大きな制約」となっていると明言しています。

 4月には北谷(ちゃたん)町で男性米海軍兵が女性を殺害し、自殺する事件が発生。県議会は同様の事件の再発防止のための抜本的対策、日米地位協定の抜本的見直しを求める意見書・決議を全会一致で可決し、要請しましたが、日米両政府は真剣に応えようとしません。

 オスプレイなど米軍ヘリの緊急着陸や戦闘機の海上での墜落も後を絶たず、米軍車両の交通事故、基地周辺での水質汚染などの問題も続いています。

 昨年9月の県知事選では、故・翁長雄志前知事の遺志を引き継ぎ、新基地建設を許さず、基地に依存しない「平和で誇りある豊かな沖縄」の実現を掲げる「オール沖縄」の玉城デニー現知事が勝利。その後の県民投票や衆院沖縄3区補選の結果からも、デニー県政が掲げる路線を県民多数が支持していることは明白です。

 日米両政府は県民の声に応えるべきです。


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