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2019年5月10日(金)

主張

憲法と国民世論

改憲望まぬ民意、さらに鮮明

 憲法記念日の3日、いくつかのマスメディアが憲法問題の世論調査を発表しました。「朝日」の調査では、憲法を変える機運が「高まっていない」が72%で、安倍晋三首相が標的にしている9条を「変えない方がよい」が64%と、多くの国民が改憲を望んでいないことが明らかになりました。それにもかかわらず、安倍首相は同日開かれた改憲派集会に寄せたビデオメッセージで、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」という気持ちは「今も変わりはない」と断言しています。国民が求めてもいない改憲を押し付けるのは、最悪の立憲主義破壊です。

国のあり方に「終止符」

 安倍首相は、一昨年の憲法記念日での「読売」インタビューや、改憲派集会へのビデオメッセージで、9条に自衛隊を書き込むことや「緊急事態条項」を創設するなどの項目を示し、20年を「新しい憲法が施行される年にしたい」と明文改憲に踏み切る意向を明らかにしました。昨年の国会に自民党の改憲案を提示、国会の憲法審査会を数の力で押し切って、国民投票に持ち込もうと企てたものの、野党と市民の力で阻止されました。しかしその後も改憲発言を繰り返し、憲法審査会での議論などを求めてきました。首相に求められる憲法尊重・擁護義務も、三権分立の原則も踏みにじる、言語道断な言動です。

 もともと秘密保護法の制定や安保法制=戦争法の強行など、憲法破壊を続けてきた安倍首相には、憲法を語る資格はありません。何より9条に自衛隊を書き込めば、戦力不保持・交戦権否認の現行の規定が空文化・死文化し、自衛隊が大手を振って、海外でアメリカの起こす戦争に参加することを可能にします。自衛隊員が外国人を殺し、戦死者を出すという、戦後一度もなかった事態になりかねません。

 安倍首相は3日のビデオメッセージで、自衛隊をめぐる「違憲論争」に「終止符」を打つために、「先頭に立って、責任をしっかり果たしていく決意」と言い切りました。9条があったからこそ、戦後の日本は、世界から評価されてきました。首相が「終止符」を打とうというのは、こうした戦後日本の、国のあり方そのものです。

 安倍首相が改憲をあおり立ててきたにもかかわらず、「朝日」の世論調査では、改憲機運が「高まっていない」が7割を超え、9条を「変えない方がよい」が昨年と同様に60%を上回っています。首相が一昨年のインタビューで改憲を持ち出した「読売」の調査でも、憲法を「改正しない方がよい」が46%(昨年同)、憲法9条に自衛隊を明記することに「反対」も46%です。明確な9条改定賛成は3割台です。国民の声は明白です。

勝手な理想押し付けるな

 安倍首相は、憲法は「国の理想を語るものであり、次の時代への道しるべ」(ビデオメッセージ)だと言って、改憲を正当化します。とんでもないことです。憲法は主権者・国民が時の権力を縛るものであり、権力者が勝手な「理想」や「道しるべ」を国民に押し付けるものではありません。

 繰り返される改憲策動に反対し、憲法を守り生かす世論と運動を広げ、7月の参院選で厳しい審判を下し、改憲策動もろとも安倍政権に“終止符”を打ちましょう。


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