2019年5月4日(土)
全国憲法研究会が講演会
天皇・AI社会・民主主義問う
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憲法学の学者・研究者などでつくる全国憲法研究会(代表・市川正人立命館大学教授)は3日、東京都内の明治大学駿河台キャンパスで憲法記念講演会を開きました。学生・研究者・市民ら1000人以上が参加しました。
作家の高橋源一郎氏が「天皇、憲法、文学」と題して講演。前天皇の退位に際しての発言を読むと、前天皇が天皇の「象徴的行為」とは何かを考え、模索してきたことがうかがえると指摘しました。
高橋氏は、前天皇の独自の模索から問われるべきは、「戦後処理などの問題を先送りし、責任を取らなかった、昭和天皇を含む戦後日本社会」なのではないか、元号が変わっても、「昭和はまだ終わっていない」のではないかと問いかけました。
憲法学者の山本龍彦・慶応大学教授は「憲法から考えるAI社会」と題して講演。AI(人工知能)社会と自由・民主主義との緊張関係に注意を促しました。
山本氏は、個人の属性や行動履歴を収集し続けなければならないAI社会と「プライバシーとの根源的緊張」や、AIがインターネット利用者にそれぞれの価値観に合った情報だけを提示する結果、社会が分断されてしまう危険などを指摘。人権保障のためにEUなどで始まった新しい動きを紹介し、「どのようなAI社会が理想なのかを『いま』考える必要がある」と訴えました。