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2019年5月2日(木)

新天皇即位の儀式

憲法の国民主権と政教分離原則に抵触

 新天皇即位に伴う諸儀式が1日からはじまりました。一連の儀式が日本国憲法の国民主権、政教分離の原則に抵触するものとなっていることは重大です。

 新天皇「即位の礼」で1日行われた行事は(1)剣璽(けんじ)等承継の儀(2)即位後朝見(ちょうけん)の儀(3)賢所(かしこどころ)の儀(4)皇霊殿神殿に奉告の儀―の四つです。

 いずれも国家神道色が強い宗教的儀式ですが、(1)と(2)が「国事行為」(憲法に定められた天皇の行為)として行われたことは特に問題です。

 「剣璽等承継の儀」は、戦前の皇位継承などの儀式を定めた「登極令(とうきょくれい)」にある「剣璽渡御(とぎょ)の儀」をほぼそのまま再現したものです。皇位のあかしとされる「三種の神器」の中の剣、璽(じ=まがたま)と国璽(国の印)、御璽(天皇の印)を新しい天皇に引き継ぐ儀式です。

 憲法は天皇の地位について「主権の存する国民の総意に基づく」としています。天皇の地位は主権者国民の総意に基づくものであり、「三種の神器」の「承継」を天皇「代替わり」のあかしとする儀式を国事行為とすることは、憲法の国民主権の原則と相いれません。神話に基づく宗教色の強い儀式を国事行為とすることも憲法の政教分離原則に抵触します。

 「即位後朝見の儀」は、新天皇が即位後初めて三権の長など国民を代表する人々と会う儀式です。しかし、「朝見」とは臣下が宮中に参上して天子に拝謁するという意味です。天皇の「おことば」にたいして首相が「国民代表の辞」を読み上げるという儀式の形式も憲法の国民主権の原則にそぐわず、国事行為とすべきものではありません。

 こうした問題が起きるのは、前回の「平成の代替わり」のさい、政府が昭和天皇の重体を理由に、儀式のあり方について国会での議論を拒絶し、閣議決定で戦前の旧皇室典範や登極令に準拠した儀式を決定、今回も安倍晋三政権がそれを踏襲したからです。

 日本共産党は2018年3月、「代替わり」儀式について「現行憲法の精神に即して、全体として見直す」ことを提案しました。

 新天皇即位に伴い、これから11月にかけて31もの儀式が行われます。それが日本社会に与える影響、天皇「代替わり」を政治利用する安倍政権のねらいに、厳しい目を向ける必要があります。(竹腰将弘)


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