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2019年4月30日(火)

きょう明仁天皇が退位

「退位礼正殿の儀」国事行為で

宗教色濃く憲法と相いれず(解説)

 天皇の「代替わり」に伴う「退位の礼」関係諸儀式は30日、「退位礼正殿の儀」で完結し、明仁天皇が退位します。

 退位に関する儀式の法的根拠は皇室典範特例法施行令ですが、第1条には「天皇の退位に際しては、退位の礼を行う」と書かれているだけで、儀式の内容の定めはありません。

 憲政史上初の天皇の生前退位に伴う儀式のあり方は、日本国憲法の国民主権と政教分離の原則にふさわしい行事として、国会での開かれた議論を通じて決めるべきでした。日本共産党は2018年3月、「憲法にのっとった儀式はどうあるべきなのかについて、国会の全ての政党会派の意見を反映し、国民的な議論により合意を形成すること」を提案しました。

 しかし、政府は閣議決定と式典委員会(委員長・安倍晋三首相)の議論で、国家神道の中核である天皇制正統神話に基づいた戦前の「登極令(とうきょくれい)」を準用した儀式内容を決めました。退位の礼関係諸儀式には、3月12日の「賢所(かしこどころ)に退位及びその期日奉告の儀」にはじまり、天皇家の私的な祭祀(さいし)である11の儀式がならびました。

 特に問題なのは国事行為(憲法に定められた天皇の行為)として行う「退位礼正殿の儀」です。皇位のあかしとされる「三種の神器」を構成する剣、璽(じ=まがたま)と国璽(こくじ=国の印)、御璽(ぎょじ=天皇の印)を安置したうえ、「国民代表の辞」を内閣総理大臣がのべ、天皇が「おことば」をのべるという形式で行われます。

 退位礼正殿の儀に「三種の神器」などを持ち出すことについて1月17日の式典委員会では「皇室の伝統にも沿うもの」(山本信一郎宮内庁長官)、「憲法上の問題はない」(横畠裕介内閣法制局長官)などの発言がされています。

 日本国憲法のもとで制定された現在の皇室典範では、旧典範にあった「三種の神器」を受け継ぐことを意味する「践祚(せんそ)」という言葉も「神器」という用語も削除されました。

 天皇家が「三種の神器」を家宝として扱い、代々受け継いでいくことは否定されないとしても、それは天皇家の私的行為として行われるべきことです。きわめて宗教色の強いこうした儀式を国事行為として行うことは、憲法の政教分離の原則と相いれません。

 (竹腰将弘)


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