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2019年4月26日(金)

主張

就労外国人の拡大

「安価な労働力」の危険消えぬ

 日本で働く外国人の受け入れを拡大する改定出入国管理法が今月から施行されました。同改定法は、外国人労働者を「安価な労働力」「雇用の調整弁」扱いするものだと、昨年の国会で大問題になったものです。それにもかかわらず、安倍晋三政権は審議を尽くさず強行しました。外国人労働者の人権や尊厳、労働環境を守る仕組みは極めて貧弱で、懸念と不安は増すばかりです。政府が施行までに整えるとしていた「対応策」も追い付いていません。「受け入れ拡大ありき」の急場しのぎのやり方は、将来に重大な禍根を残します。

なし崩しの危険が現実に

 改定入管法は、人手不足とされる業種で外国人労働者の受け入れを拡大するため、「特定技能」という新たな在留資格を設けることなどが柱です。特定技能は、技能水準の違いなどで1号と2号に分けられます。「相当程度の技能や知識」を持つ1号は、在留期限は通算5年で家族の帯同は認められません。「熟練した技能」を持つ2号は、在留期間の期限のない更新と家族帯同が可能とされています。

 政府は、介護、外食、建設など14業種で5年間に約34万5000人を受け入れるとしていますが、算定根拠は不明確です。都合よく拡大解釈される余地もあります。

 東京電力が、特定技能の外国人労働者を福島第1原発の廃炉作業などに受け入れる方針であることが先週明らかになりました。廃炉の現場は、高い放射線量の下での危険な作業が多く、日本語能力の不足などで意思疎通ができなければ、事故などに直結する恐れがあります。東電は14業種の「建設」などに該当すると判断したと言いますが、政府側は、廃炉や原発構内の作業に特定技能の労働者が従事することは認められないなどと国会で表明しています。廃炉作業は慢性的な人手不足とされています。人が集まらないから、なし崩し的に外国人労働者で補おうという東電の姿勢自体が問題であり、政府は厳しく対処すべきです。

 改定入管法の施行によって対象業種が広げられ、外国人労働者の命と安全、人権を脅かす事態がさらに横行すると指摘される中、「使い捨て労働」を許さない取り組みが一層重要になっています。

 過酷労働の温床と批判を浴びている「外国人技能実習制度」も依然深刻です。政府は改定法施行直前の3月末、技能実習制度運用の調査結果(2012~17年)を公表しました。「失踪」した5218人のうち約15%で最低賃金法違反、違法残業などが確認されました。同時に、「書類不備」により不法・違法行為の有無を判断しなかったケースは2000人以上にのぼり、調査の欠陥ぶりも浮き彫りになっています。171人が死亡していたことも判明しました。

 特定技能の多くは技能実習生からの移行を予定しています。実習生の実態を放置したまま、外国人労働者の受け入れを推進することは矛盾を拡大するだけです。

真の共生社会の実現こそ

 多言語の相談窓口設置も地方任せです。就労外国人を中間搾取するブローカー排除の対策も不十分です。早急な対策が必要です。

 外国人労働者の人権と尊厳を守ることは、日本の労働者の権利と労働条件を守ることと一体です。「人権後進国」から脱却し、真の共生社会の実現が急務です。


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