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2019年4月19日(金)

きょうの潮流

 「ロングショート」という言葉をご存じですか? 長いのか、それとも短いのか。家族の死などで、住み慣れた家での生活が突然続けられなくなった障害者らが、ショートステイ(短期入所)を長期にわたり続ける状態のことです▼埼玉県内の短期入所施設では、定員10人のうち5人がロングショートだったといいます。常時20~30人がその状態だという別の自治体も。障害がある人が家族に依存せずに安心して暮らせる場が、圧倒的に不足しています▼背景に、障害者が地域で暮らすという国の「地域移行」政策があります。それなのに、障害者が地域で暮らすための受け皿や体制が整備されないまま。障害者への監禁・虐待は過去5年間で1万2千件以上、加害者の7割は家族というデータも▼「重度障害があっても地域生活を送れるよう、地域に入所施設やその機能が必要です」。国も自治体も新設に後ろ向きのなか、家族や関係者がそう訴え、国などを動かしました▼今月、埼玉県川口市に入所施設が開所しました。短期入所施設の職員は「何年もロングショートを続けてきた仲間にとって、ようやく正式な暮らしの場で生活ができる」と喜びをあらわに。けれど、県内には1500人超の待機者が。40人定員のところ、207人が希望したと▼「夢のようだからこそ、希望がかなわなかった方々には本当に申し訳なく思いました」。入所した人の家族が手放しでは喜べない現状もあります。社会資源としての入所施設整備は、待ったなしです。


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