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2019年4月10日(水)

子ども・子育て支援法改定案に対する塩川議員の反対討論

衆院本会議

 日本共産党の塩川鉄也議員が9日の衆院本会議で行った子ども・子育て支援法改定案(「幼児教育無償化」法案)への反対討論の要旨は次の通りです。


 第1に、本法案は消費税増税が発端です。安倍総理は、総選挙を前にした2017年9月、消費税10%増税の使途変更を理由に「幼児教育の無償化」を持ち出し、解散総選挙の口実としました。

 消費税は、低所得者ほど負担が重い逆進性を持つ税だと総理自身認めています。保育料はすでに所得に応じ段階的になっており、保育料が免除されている住民税非課税のひとり親世帯などでは「無償化」による恩恵はなく、消費税増税分が重くのしかかるだけです。

 第2に、「無償化」措置は、教育・子育ての切実な願いを逆手にとり、増税と引き換えに総理の一言で党略的に決めたものです。内閣府が「検討の場はなかった」と答弁したように、十分な検討は行われていません。だから、経過措置期間の5年間は保育士がいない施設も給付対象とし、指導監督基準以下の施設も容認するなど制度として矛盾だらけです。

 認可外保育施設への児童福祉法に基づく立ち入り調査は68%しか行われていません。「無償化」によって調査対象は1・7倍に増えます。「巡回支援指導員を増やす」と言う厚労省も、巡回支援指導員では児童福祉法に基づく指導監督を代替できないと認めました。指導監督体制の強化なしに安心・安全な保育は保障できません。

 法案は保育料に含まれていた3~5歳児の給食おかず費を施設側に徴収させます。保育の一環である給食の費用は公費で負担すべきで、実費化は公的保育制度を後退させます。

 第3に、公立保育所をさらに減らし、企業主導型保育事業を拡大することです。

 公立保育所数は、地方行革の押し付け、運営費・整備費の一般財源化によって、この20年間で3割も減少しています。「無償化」で私立保育所には国から2分の1補助が出るのに、公立保育所は市町村の10割負担です。公立保育所の廃止・民営化をいっそう加速させるのは明らかです。

 一方、この間急拡大してきた企業主導型保育は、突然の閉園や助成金の不正受給、75%の施設で基準違反が見つかるなど問題が相次いでいます。助成決定を行う児童育成協会の審査で、現地確認は約2600施設のうちわずか6件。審査はたった5人で年3回の会議で行うというのが実態です。

 企業主導型は仕組み上、「認可施設にならない施設」だと内閣府も認めたのに、政府は「子育て安心プラン」で、企業主導型保育を待機児童の受け皿として組み込み推進してきました。企業主導型保育を今回の「無償化」の対象とすることで、市町村が設置・監査に関与せず、認可基準以下で整備・運営できる企業主導型が拡大するのは目に見えています。

 結局、認可保育所による自治体の保育実施義務に支えられた公的保育制度を大きく後退させるだけで、断じて認められません。

 緊急にやるべきは待機児童解消であり、公立を含む認可保育所の増設と保育士の抜本的な処遇改善です。

 政府の保育の受け皿整備は、問題だらけの企業主導型を推進するだけ、保育士不足の要因である低賃金、長時間・過密労働の実態調査すら行っていませんでした。これでどうして、保育士の処遇改善ができるでしょうか。

 保護者と保育関係者の「安心・安全な保育を」という願いに応えるためには、「保育の質・量の確保」をしながら、保護者の負担軽減をすすめるべきです。


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