しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年4月3日(水)

主張

「森友」検察議決

政治の解明責任いよいよ重大

 学校法人「森友学園」に国有地が破格の安値で払い下げられ、「私や妻が関係していれば、首相も国会議員も辞める」との安倍晋三首相の答弁に合わせて、公文書の改ざんなどが行われた「森友」疑惑をめぐり、大阪第1検察審査会は、当時の佐川宣寿・財務省理財局長らが不起訴になったのは「不当」だと議決しました。大阪地方検察庁が、再捜査することになります。

 市民の代表で構成される検察審が、「不起訴不当」と再捜査を求めたのは重要です。大阪地検の厳正捜査は当然ですが、疑惑解明への政治の責任が改めて問われます。

市民の判断は重要

 検察審査会は、裁判員制度と同じく、司法への市民参加の一環で、くじで選ばれた11人から構成されます。検察が起訴しなかったものを審査し、過半数が同意すれば、「不起訴不当」になります。

 「森友」疑惑は、一昨年2月に、大阪府豊中市内の国有地が「森友学園」に、鑑定価格より約8億円も値引きされて売却されたことなどが発覚、首相の妻らと学園の深い関係も明らかになる中で、国政を揺るがす事態に発展しました。

 国有地が異常な安値で売られたうえ、首相の国会答弁に合わせて、佐川局長らが「交渉記録はない」などと虚偽答弁したり、公文書が隠ぺい・改ざんされたりしたのは問題だと、市民団体などが佐川氏らを大阪地検特捜部に刑事告発しました。特捜部は昨年5月、佐川氏や財務省職員を「嫌疑不十分」や「嫌疑なし」で不起訴にしたため、市民らが不服だと、検察審に申し立てたものです。

 検察審の議決は、「値引き」について、「業者の見積もり内容ほどの工事が必要か否かの検証がなされていない」と述べ、検察の不起訴処分に疑義を呈しました。決裁文書の改ざんや廃棄についても、佐川氏らの捜査の際の供述に「信用性がない」「責任は重大」と指摘しています。検察審の議決を受け、再捜査の責任を負う地検が、厳正な捜査を行うのは当然です。

 さらに重大なのは、司法任せにしない政治の責任です。安倍政権は、首相の妻の昭恵氏らの国会での証人喚問や、すべての関係文書の公表を行っておらず、疑惑の解明は尽くされていません。

 不当に処分された国有地は国民の共有財産で、改ざん・隠ぺいされた公文書は、国民の知的共有財産です。虚偽答弁や公文書の改ざん・隠ぺいは、国会の権威はもとより、国民の「知る権利」に関わる、重大問題です。

 これまでの国会質問などで、「森友」が開設予定の小学校の「名誉校長」を務めていた昭恵氏が、国有地を視察した際の写真を、当時の学園理事長が財務省に見せたり、昭恵氏付の政府職員が財務省に問い合わせしたり、理事長が「昭恵氏が棟上げ式に来る」と財務省に伝えたりしたことが、不当な処分の背後にあることが明らかになっています。

 安倍政権は昭恵氏らの喚問を認め、説明責任を果たすべきです。

民主主義の根幹に関わる

 「森友」疑惑では、大学教授が、財務省が学校名などを公開しなかったのは違法だと訴えた情報公開請求で、違法性を認めた大阪地裁判決が、先週末確定しました。

 日本の民主主義の根幹に関わる疑惑の解明に、政治が役割を果たすことが求められます。


pageup