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2019年3月29日(金)

京壊す安倍観光戦略

増えすぎる民泊・客

京都市政も一体に

 ホテルや「民泊」建設ラッシュによる地価高騰、許容量を超える観光客激増、規制緩和による再開発―。安倍政権の観光戦略とそれを持ちこむ京都市政のもと、同市内では「応仁の乱以来」といわれるほどのまち壊しが起きています。日本共産党京都市議団と府委員会は「京のまちづくり緊急提言」を発表(1月)し「安心して住み続けられる、まち再生へ力をあわせよう」と呼びかけています。(丸山裕子)


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(写真)京都タワーの展望室から見た京都のまち並み=京都市

地価高騰 住民追い出す

 宿泊施設が急増し、2015年に約3万室だった客室数は20年には1・8倍にもなる見込みです。地価高騰により「市内に住みたいが地価が上がり手が出ない」という声や、住宅より収益率の高い宿泊施設にするため「住民追い出し」のような事態が起きています。

 「私たち住民を立ち退かせて『民泊』などにしようとしているのではないか」と話すのは中京区の借家に住む70代の男性。男性宅は二条城や京都御苑にも徒歩圏内、交通の便もいい「好立地」。徒歩1分ほどの間にもここ数年間で建った「民泊」などが点々とあります。

 男性宅を含む十数軒分の土地所有者が変わると告げられたのは2014年末。新しい所有者と管理会社は住人に対し15年春に立ち退きを要求し、16年秋には借地・借家料値上げを通知してきました。3万5千円の家賃を8万2千円にするなど上げ幅は約2・3倍~4・5倍。立ち退きにも値上げにも応じない住民に対し500万円などの立ち退き料を提示し、昨年には残った男性らに対し裁判を起こしてきました。「ここは親の代から90年住み慣れた土地。他の家も高齢などこれからよそに家を借りたり引っ越したりするのは難しい」。男性は憤ります。

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(写真)バス停で待っていた人が乗車しきれないほど混雑する路線バス=3月、京都市内

混むバス 5台見送りも

 京都市内を網の目のように走る路線バスは市営バスを中心に民間バスも含めまさに住民の足です。しかし、金閣寺や清水寺など最寄りの公共交通機関がバス停という観光地も多いため日常的に観光客で混雑し、生活でバスを使う住民から「乗れない」と悲鳴があがっています。

 「桜や紅葉の時期は特にすごいですよ」と話すのは、清水寺最寄りのバス停付近で喫茶店を営む上畑幾子さん(84)。来たバスがすでに満員状態で、行列しているのに数人しか乗れず出発してしまう光景が見られます。「80代の知り合いが病院に行くのに混んで乗れず5台ほど見送ったという話を聞きました」。

 上畑さんも週に数度利用しますが、運賃の支払い方法に慣れない観光客がたくさん乗り、渋滞も重なって今まで10分ほどだった所に20~30分かかることも。混む路線をさけるため最寄りでないバス停まで歩くこともあると言います。

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(写真)日本共産党が開いた京都のまちづくりを考えるシンポジウム=2018年11月、京都市

住み続けられるまちに

共産党、市議選勝利訴え

 日本共産党の「京のまちづくり緊急提言」はこの間取り組んだ、住民アンケートや実態調査、民泊問題やまちづくりのシンポジウムを踏まえて発表されました。提言では、まちこわしの背景について、2020年に4000万人、30年に6000万人のインバウンド(訪日外国人観光客)目標を掲げる安倍政権の観光戦略とその吸収を最大目標にする市政にあると指摘し、次のような三つの転換を提案しています。

 一、インバウンド頼みでオーバーツーリズム(観光地が耐えられる以上の観光客が押し寄せる状態)を招く呼び込み型まちづくりの転換▽過大な観光客誘致目標を見直し、市民と観光客の安心・安全のためにも宿泊施設や車の総量を規制する▽学校跡地をホテルにするなど公有地の民間差し出しをやめる▽JR京都駅周辺の広大な地域の再開発などの計画や行き過ぎた規制緩和をやめる

 二、大型開発優先から地域循環型、防災・減災を軸にしたまちづくりへ▽北陸新幹線延伸計画やリニア新幹線誘致の中止▽中小企業振興基本条例(仮称)の制定

 三、安心して住み続けられるまち、住民主体のまちづくりへ▽給付制奨学金制度の創設▽子どもの医療費を中学校卒業まで無償化

 自民党と第一党を争う京都市議選(29日告示、4月7日投票)でも、日本共産党の勝利・躍進で「安心して住みつづけられる京都を」と訴えています。


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