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2019年3月27日(水)

カジノ施行令閣議決定

賭博場 世界最大級

首相「これまでにない規模と質」

 安倍晋三内閣は26日、昨年7月に強行成立させたカジノ実施法の細目を定める施行令を閣議決定しました。カジノに併設するホテルや国際会議場、展示場などにこれまで国内には例がない巨大規模を求め、施設全体の床面積への割合で決められるカジノも世界最大規模となることを許容しています。


写真

(写真)巨大なカジノをイメージする大阪府・市作成のリーフレット

 安倍首相は、閣議に先立って開いたカジノ推進本部の会合で「世界中から観光客を集める滞在型観光の実現へ、これまでにないスケール(規模)とクオリティー(質)を求め、世界最高水準のカジノ規制を具体化する」と主張しました。

 施行令は、カジノに併設するホテルの要件として客室の床面積の合計をおおむね10万平方メートルと国内では前例がない規模としました。高級室である「スイートルーム」が一定の割合を占める金持ち向けの宿泊施設とするよう求めています。

 国際会議場や展示場の規模にも基準を設定。いずれも国内最大規模となっています。

 IR(カジノを中核とする統合型リゾート)の施設全体の床面積に対して「3%」という面積基準だけが定められたカジノ賭博場の規模も、世界最大規模となることが許容されることになります。

 違法資金の洗浄(マネーロンダリング)対策として、カジノ事業者がカジノ管理委員会に届け出をしなければならない取引の範囲は「100万円を超えるもの」としました。100万円までのチップ購入は野放しとなり、シンガポールのカジノが1万シンガポールドル(約80万円)以上の現金取引の報告義務を課していることに比べても極めて不十分です。

 カジノ広告についてはIR施設内のほか海外からの訪日客があつまる港湾や空港の国際線ターミナルで表示できるとしました。

■カジノ実施法施行令のおもな内容

・宿泊施設の床面積は国内に前例がない10万平方メートル以上。スイートなど高級客室の割合も考慮求める

・「最大の会議室の収容人数が6000人以上、展示場の床面積は2万平方メートル以上」など巨大規模の施設併設を義務付け

・カジノの面積は「施設全体の床面積の3%」とするだけで、絶対値による規制はなし

・現金取引の報告義務は100万円以上から。マネーロンダリング対策にならず

・カジノ広告は施設内のほか空港、港湾の国際線ターミナルで許容


解説

住民多数が反対選挙で「ノー」を

 カジノ実施法は、日本のカジノがどのようなものになるのか、制度の細目311項目を後に定める政令やカジノ管理委員会規則に委ね、国民にも、国会にも示さないまま強行されました。

 今回の施行令でも、なお多くの主要な問題が7月に発足するカジノ管理委員会が定める規則に先送りされています。カジノの実態を示さぬまま既成事実を積み重ね、カジノ開設を強行するという安倍内閣の手法はきわめて姑息(こそく)です。

 カジノ誘致の申請主体となる都道府県、政令都市の側の動きは激しさを増しています。しかし、誘致自治体が抱える根本的な矛盾は、住民の大多数がカジノに反対し、身近に賭博場ができることを拒否する世論が高まっていることです。

 北海道知事選では、カジノ反対を明確に掲げる野党候補とカジノ推進の与党候補ががっぷり四つとなっています。

 さらにカジノ誘致の議決がねらわれる都道府県・政令市議会の議員選挙でカジノ反対を明確に掲げる日本共産党の躍進が、カジノに固執する安倍政権への痛打となります。

 (竹腰将弘)


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