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2019年3月26日(火)

辺野古 新たな土砂投入開始

安倍政権、展望なき暴走

3区補選・参院選で審判を

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(写真)新区域への土砂投入が強行された辺野古=25日、沖縄県名護市

 「海を壊すな!」。25日午後、強い波と雨が襲いかかる辺野古の海と陸に抗議の声が響く中、防衛省沖縄防衛局は埋め立て区域西側の「K1護岸」から土砂投入を開始しました。

 同日は朝から強襲揚陸艦ワスプが辺野古沖合に停泊。ハッチから水陸両用車AAV7が飛び出し、水しぶきを立てて爆走しました。空には、普天間基地所属のUH1ヘリの編隊が旋回飛行を繰り返していました。新基地ができれば、静かで美しい辺野古の上空にオスプレイが飛び、戦場のような訓練が行われる―。辺野古の行く末を暗示するような光景でした。

軟弱地盤存在 完成は不可能

 今回の土砂投入は、昨年12月14日の最初の投入と比べて、はるかに重大で深刻です。

 第1に、7割以上が埋め立て反対という沖縄県民投票(2月24日)の民意を無視し、1カ月の工事停止・集中協議をという玉城デニー知事の安倍晋三首相への要請(19日)も拒否したことです。事あるごとに「県民投票の結果を真摯(しんし)に受け止める」と言いながら、民意を真っ向から踏みにじる安倍首相は言葉の持つ重みを軽んじ、深刻なモラルハザードをもたらしています。

 第2に、政府自身、埋め立て区域北側の大浦湾の埋め立て区域の大半に軟弱地盤が広がり、地盤改良の必要性を認めた上での土砂投入だということです。

 政府は「一般的な工法で地盤改良工事は可能」だとしています。しかし、(1)改良面積は大浦湾側の6割以上(2)砂杭(すなぐい)約7・7万本(3)砂量651万立方メートル―という難工事で、途方もない時間がかかるのは必至です。沖縄県は工期を13年と見積もっています。

 加えて、国内の施工可能深度70メートルを超える90メートルの軟弱地盤も確認されており、新基地の完成は事実上、不可能な状況です。

 埋め立て土量の約85%は大浦湾側にあり、いくら辺野古側で埋め立てを進めても新基地は完成には近づきません。安倍政権がやっているのは単なる「パフォーマンス」(沖縄県)であり、展望なき暴走を重ねているのです。

普天間固定と巨大な残骸と

 このままでは新基地は完成せず、普天間基地が半永久的に固定化され、辺野古の海にコンクリートの巨大な残骸が残るだけです。安倍政権にはもはや工事を止める意思はなく、止めるための決断力も持っていません。工事を止める最良の力は、衆院沖縄3区補選(4月9日告示、21日投票)の勝利はもちろん、参院選で安倍政権に審判を下すことです。(竹下岳)

図

風雨の中 市民ら抗議

美ら海壊すな

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(写真)新たな区域への埋め立て土砂投入に抗議する人たち=25日、沖縄県名護市辺野古

 「決してあきらめずたたかい続ける」―。新たな土砂投入に対して、辺野古の海と陸で多くの市民らが集い、風雨の中、抗議行動を続けました。

海で

 K1護岸では午前9時すぎ、新たな土砂投入の準備が始まり、大型クレーン車が白い防砂シートやオレンジ色の汚濁防止膜を移動させていました。午後3時に土砂投入が始まると、ドドドドーという音が響き渡りました。

 ヘリ基地反対協は午前にカヌー44隻・抗議船9隻、午後もカヌー30隻余・抗議船3隻で行動しました。「基地をつくるな」「美(ちゅ)ら海守れ」とシュプレヒコールし、「民意に従え」「海を壊すな」などの横断幕を掲げました。

 カヌーで抗議する人からは怒りの声が次々あがりました。名護市の男性(70)は「国は県民投票に“真摯(しんし)に向き合う”といった。それがこの態度だ。この国に民主主義はあるのか」、東京都の男性(55)も「民意無視が当たり前の政治を許してはいけない。辺野古問題は沖縄の問題ではなく日本の問題。それを多くの国民が気づかないといけない」と語ります。

陸で

 米軍キャンプ・シュワブゲート前には、県内外から約500人が集まりました。うるま市の女性(85)は「言葉では言い表せない。だからこの年でも抗議に来た」と怒りで声をふるわせる一方、「県民には踏まれても、踏まれても負けない気概がある。土砂投入もはねかえしていく」と前を見据えました。「日本全体の進む方向にも影響する問題。全国と一緒にたたかいを強くしていかないといけない」と語りました。

 アメリカ出身で2010年に日本国籍を取得した素民喜(すみんき)琢磨さんは沖縄国際大の教授。「辺野古新基地建設は、アメリカ帝国主義による侵略戦争という最悪の犯罪のサポートになる」と指摘し、「民意無視はアメリカでは考えられない。もっと大きな怒りをぶつけないと」と力を込めました。

 米オレゴン州ポートランド在住の高校生(17)は母が沖縄出身の日系2世。同級生と辺野古のことを話すなか、沖縄のために何ができるか考えてほしいとドキュメンタリー映像の作成を決意。SNSで発信し、「アメリカの人に沖縄の状況を知ってほしい」と意気込みました。

 衆院沖縄3区補選に立候補するヤラともひろ氏も駆けつけました。(前田泰孝、柳沢哲哉)


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