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2019年3月22日(金)

地方自治壊す維新発「異質の悪政」

「大阪都」構想に終止符を

ダブル選 記者座談会

 大阪維新の会が仕掛けた「脱法的な」大阪府知事・大阪市長入れ替えダブル選(4月7日投票)は21日の知事選告示で火ぶたが切られました。大阪市長選は24日告示です。様相を担当記者で話し合いました。


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(写真)訴える小西知事候補(左)と柳本大阪市長候補=21日、大阪市・梅田ヨドバシカメラ前

住民不在 投げ出し選

 A 知事選告示初日から激しい舌戦になったね。舞台は梅田ヨドバシカメラ前。元副知事の小西ただかず知事候補と元大阪市議の柳本あきら大阪市長候補が「(今回のダブル選は)暴挙。おごり」「投げ出し、(クロスではなく)ばっ(×)てん選挙」と批判した。同じ場所で大阪維新の会政調会長の吉村洋文知事候補は「最後まで迷った」とダブル選を釈明。維新代表の松井一郎大阪市長候補は「もう一度『都』構想の賛否を問いたい」と執念を見せた。

 B 任期途中で公職を投げ出し松井知事が市長候補、吉村大阪市長が知事候補にポストを入れ替えて臨むダブル選。通りかかった30歳代の男性会社員も「わけわからん」と首をかしげていた。70~80代の女性仲良しグループは「維新のやり方が大嫌い。自分の思い通りにならないと、住民投票も何度でもやろうとする」と口々にぼやいていた。

 C 維新の狙いは、行き詰まった「大阪都」構想の実現だ。「ラストチャンス」「一度だけ」と言っていた2015年5月の住民投票で否決されたが、どうしてもやりたい維新は、再度の住民投票に持ち込もうと必死だ。住民投票には府・市議会での議決が必要だが維新は過半数に満たない。

 D そこで、公明党の協力を得ようとして「住民投票実施」の密約までばらして揺さぶりをかけたが、実施時期などをめぐり決裂。ならば、維新で府・市議会とも過半数を取るために有利になると踏んで仕掛けたのが、統一地方選にぶつけた知事・大阪市長ダブル選だ。

 B 松井氏に「裏切られた」といわれている公明党の北側一雄副代表が「党利党略」「大義ない」「住民不在」と維新を痛烈に批判したのが印象的だった。

 C 松井氏は「(相手陣営は)大阪市がなくなると不安をあおっている」とも言ったが、「不安」どころじゃない。柳本氏は「大阪都」構想の本質は「大阪市という政令市を廃止・分割すること。効果がないのに分割に1500億円以上のコストがかかる。もっと子育てや防災などにお金を使うべきだ」と訴えていた。小西氏も柳本氏も「大阪都」構想の議論に終止符を打つべきだと明快だ。

 A 日本共産党は、「大阪都」構想は大阪市を解体し地方自治の土台そのものを破壊するもので、個々の政策課題とは次元が違う「異質の悪政」だとして「『大阪都』ストップ、維新政治を終わらせる」立場から小西、柳本両氏を自主的に支援することを決めた。

危険な司令塔一本化

 D 「都」構想がいかに「異質」で「危険」なものかが、この間のテレビ討論でも浮かび上がったね。

 C 話題になったのが、松井氏の「権力」論だ。松井氏はテレビ討論で「大阪において知事、(大阪)市長はツートップ。両方ともすごい権力者なんです。われわれは、これを1人でいいと思っている」と言った。これに、小西氏は「非常に重大な発言だ。知事、市長を権力の座というのは。住民の代表なんですよ」と問題視した。

 A 「都」構想の狙いを表している。大阪市を廃止・解体して権限も財源も「都(府)」に吸い上げて「1人の指揮官(知事)」の下でやりたい放題のことをやる体制をつくるのが「都」構想だからね。「権力者は1人でいい」という発想は、かつて「今の日本の政治に一番必要なものは独裁」と語った橋下徹・前維新代表の発想に通じる。

 B 吉村氏も「『大阪都』で司令塔を一本化」した方がうまくいくという。では、たとえばカジノを中核とする統合型リゾート(IR)はどうなるか。小西氏は「IRを例に取ると、(大阪市を廃止・分割してつくる)特別区が反対しても、最後は“一元化された司令塔が決めますよ”(ということになる)。基礎自治体と広域自治体・大阪府と意見が違っても“俺らが全部決める”というのが司令塔の一元化論。市町村の意見を無視する極めて危険な考え方だ」とぴしゃり。的を射ている。

カジノ阻止にも影響

 A 維新は「大阪の成長を止めるな」というが、1人当たりの府民所得、製造品出荷額、卸売販売額も悪化し、子どもの貧困も深刻だ。南海トラフ巨大地震に備えた防災も急務だ。いつまでも不毛な「大阪都」議論をやっている場合ではない。「都」構想にしがみついているのは政党では維新だけ。「都」構想に終止符を打ち、維新政治を終わらせるチャンスだ。立場の違いを乗り越えて共同することは、維新が言う「談合」どころか、大義がある共同だ。

 B チャンスを生かすためにも、日本共産党が大阪府議選、大阪市議選、堺市議選で躍進することが決定的な力になる。「カジノよりくらしの安心・希望」「大阪都ストップ、維新政治転換を」のスローガンを高く掲げ、府民的な大争点に押し上げていくことは、カジノの大阪誘致にも影響する。

 C 小西氏も柳本氏も「IRの推進」という立場だが、たとえば小西氏は「幅広い府民の意見を踏まえ」ることを前提にしている。「ギャンブル依存症、青少年健全育成に与える影響」にも触れ、「みんなでやろうよということにならないと進まない事業」「開業時期ありきだとは思っていない。府民のご理解がないままにできない」とも述べている。

 D どの世論調査でもカジノ反対が多数だ。「府民の理解」などお構いなしに、2025年万博までのIR開業(24年開業)へひた走り、鉄道整備などに巨額を投じようとしているのが維新だ。平松邦夫元大阪市長が言うように「維新を止めればカジノも止まる」という結果を出せるかどうか。たたかいと世論次第だ。


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