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2019年3月21日(木)

主張

CV22オスプレイ

事故率突出の危険機は撤去を

 東京都の米軍横田基地(福生〈ふっさ〉市など5市1町)に配備されている特殊作戦機CV22オスプレイについて、基地周辺の自治体を中心に、日米合意に違反した飛行が相次いで目撃されていることが本紙の調査で分かりました(18日付)。CV22の10万飛行時間当たりの事故件数(事故率)は、主要な米空軍機の中で突出して高いことも明らかになっています。高率で事故が発生する上、危険な飛行を繰り返し、住民の命と暮らしを深刻に脅かしているCV22の配備を続けることは許されません。

日米合意違反が横行

 横田基地には2018年10月1日に5機のCV22が日本国内で初めて正式配備されました。24年ごろまでにさらに5機を追加配備し、計10機(人員約450人)にする計画です。

 米空軍安全センターは毎年9月末(米会計年度末)時点の事故率を公表しています。それによると、18年9月末時点のCV22の事故率は、死者または200万ドル(約2億2000万円)以上の損害が出た「クラスA」事故で5・84件となっています。これは、既に製造が中止されているF22戦闘機の6・11件に次ぐ高さです。

 防衛省の説明や報道によると、CV22は、17年12月に飛行中のエンジン損傷、18年3月に急激に降下して地面にたたき付けられるような着地(ハードランディング)の2件の「クラスA」事故を国外で起こしています。このため、「クラスA」の事故率は、17年9月末時点の4・05件から大きく上昇しました。

 しかも、体の一部に障害が永久に残る負傷者または50万~200万ドル未満の損害が出た「クラスB」の事故率は、18年9月末時点で42・08件と最も高くなっています。2番目に高いB1爆撃機の18・69の倍以上です。

 横田基地に配備されているC130輸送機の18年9月末時点の「クラスA」の事故率0・82件、「クラスB」の事故率1・47件と比べると、その異常さはさらに際立ちます。

 CV22の運用について日米両政府は、▽進入・出発経路はできる限り学校や病院を含む人口密集地の上空を避ける▽運用上必要な場合を除き、米軍施設・区域内でのみ垂直離着陸モード(ヘリモード=両翼のプロペラを上に向けた状態)で飛行する▽転換モード(プロペラを斜め上に傾けた状態)での飛行時間をできるだけ限定する―といった合意をしています。ヘリモード時にオスプレイの墜落事故が相次いだことなどから、住民の不安を解消するためです。

 しかし、本紙調査では、横田基地周辺の市街地上空でヘリモードでの飛行が横行しています。埼玉・神奈川両県でも合意違反の飛行が相次いで目撃されています。

「日本防衛」とは無縁

 安倍晋三政権は、CV22の横田基地配備について「わが国の安全保障にとって意義がある」(岩屋毅防衛相)としています。

 しかし、CV22は特殊部隊を敵地に潜入させたり、敵地から脱出させたりすることを任務にしています。敵地に送り込まれた特殊部隊は、偵察や破壊活動、要人の殺害、爆撃の誘導などを実行します。「日本防衛」とは無縁です。CV22の撤去を求める世論と運動を大きく広げることが必要です。


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