しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2019年3月21日(木)

倉林質問 増税論揺るがす

低年金+制度改悪 高齢者の就業は「生活苦」

写真

(写真)質問する倉林明子議員(右)=14日、参院予算委

 安倍晋三首相は、2012~18年で就業者が380万人増えたことを「景気回復」のあらわれとして強調し、消費の落ち込みや実質賃金の低迷という実態を無視して消費税10%増税を強行する方針を維持しています。

 しかし、380万人の就業増加の7割(266万人)は65歳以上の高齢者であり、多くの高齢者が働きに出る実態は決して「景気回復」「経済の好調」を示すものではありません。日本共産党の倉林明子議員は参院予算委員会(14日)で、年金だけでは暮らせない高齢者の深刻な生活、年金制度の実態を政府に突きつけました。

減る「手取り」

 倉林氏は、パネルで13年以降65歳以上の就労人口が右肩上がりに増え、60~64歳の定年後雇用継続の層を引き離していることを提示。「高齢者が働く理由の一番は、生活費が足りない、あるいは医療、介護への不安があるからだ」として、生活保護世帯が過去最高となる中で高齢世帯の占める割合が年々増していることを示し「低年金、無年金者が1200万人を超えている」と指摘しました。

 倉林氏は年金支給をめぐり、年金の平均支給額が13~17年度で、厚生年金では1358円、国民年金では1604円も名目で減少していると指摘しました。新規年金受給者の年金額の減少などが影響しているとみられます。さらに介護保険料、国民健康保険料、75歳以上なら後期高齢者保険料の引き上げ(天引き)により、年金の「手取り」額はさらに落ち込みます。

引き下げ装置

 倉林氏は、物価上昇に対して年金額の上昇を抑制する「マクロ経済スライド」の発動で、19年度は物価上昇が1%に対し年金改定は0・1%上昇にとどまるとし、「月10万円の年金なら月900円減らされたのと同じだ」と告発しました。特に19年度は18年度にスライド発動を見送った分を「調整持ち越し分」として加算して差し引くため、引き下げ幅が大きくなることを批判。「年金の自動引き下げ装置となっているマクロ経済スライドの実行は凍結すべきだ」と述べました。

 これらの指摘に対し安倍首相は、「(19年度の改定が)プラス0・1になったのは、まさにしっかりと賃金も物価も上昇した結果だ」などと強弁。倉林氏は「高齢者の生活目線でみれば、買えるものが少なくなる。年金は目減りする。高齢者の生活実態で見るべきだ」と厳しく批判しました。

 倉林氏の追及は、安倍首相が“自慢”する総雇用者所得・就業者人口の増大が、リタイアした高齢者が生活苦から働きに出ざるを得ない貧困の表れであることを鋭く示しました。苦しむ高齢者に、情け容赦なく負担を拡大する増税は生活破壊そのもの。消費税を「社会保障財源にあてる」とする首相の言い分も含め、消費税10%増税論はますます揺らいでいます。


pageup