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2019年3月10日(日)

きょうの潮流

 子どもたちの笑い声が響きます。それを見つめる母や父の優しいまなざし。青空のもと、春めいた東京・上野公園には穏やかな時間が流れていました▼家族連れでにぎわう広場の一角に、幸せそうにたたずむ母子像が時を刻んでいます。「時忘れじの塔」。いまでは信じられない地獄絵がひろがり、たくさんの人が死に、黒焦げの遺体が連なった東京大空襲。その事実を風化させてはならぬと▼きのう開かれた塔建立15周年の記念の集い。みずからも肉親を失い、あの悲しみ苦しみを後世に伝えたいと奔走したエッセイストの海老名香葉子さんは「戦争ほど恐ろしいものはない」と改めて▼一夜にして10万余の命が犠牲になった3月10日の大空襲から74年。太平洋戦争末期、日本は東京だけでなく全国の都市や街が米軍の無差別爆撃にさらされました。軍事施設に限らず、港や列車、民家や学校まで。まさに日本人すべてが標的でした▼その背景には、戦争一色に国を染めあげ、無謀なたたかいに全国民を巻き込んだ日本の軍国政治がありました。当時の米文書には「日本に民間人はいない」とまで。しかも日本政府は、いまだにアジア侵略の反省も、本土空襲などの被害者にたいする謝罪も償いもありません▼地球上の子どもたちが笑顔で仲良く手をつなぐ日の訪れを―。85歳になる海老名さんの願いは平和をつなぐ人々とともに。それを実現させるためにも、もう二度と戦争はしないと痛切な思いを込め誓った憲法9条を守れの声を、いま大にして。


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