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2019年3月7日(木)

経済的理由による受診困難

昨年、77の死亡事例

高すぎる国保など影響

民医連発表

写真

(写真)会見で、手遅れ死亡事例調査の報告をする全日本民医連の人たち=6日、東京都内

 全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)は6日、東京都内で会見し、経済的理由で治療が手遅れになり死亡に至ったケースが2018年に77事例あったと発表しました。国の社会保障費抑制政策の下、高すぎる国民健康保険料や医療費窓口負担が受診困難にさせていることが明らかになりました。

 77事例のうち正規の健康保険証がある、もしくは生活保護利用の人が39例。そのうち22例は治療中断もしくは未受診の状態でした。無保険や短期保険証などが38例で、受診前の保険種別でみると3割を占めます。

 1人で年金暮らしの70代男性は後期高齢者医療短期証を持っていましたが、自覚症状がありながら受診せず搬送後26日で亡くなりました。結核の治療歴がある20代の外国人女性は無保険で受診できず手遅れとなってしまいました。

 山本淑子事務局次長は、事例の特徴として、▽地域で孤立▽保険料の滞納差し押さえ▽生活困窮者自立支援法に基づく不十分な支援▽障害など複合的な困難―などがあると明らかにしました。岸本啓介事務局長は、この問題の背景には貧困問題があると指摘。安倍自公政権がすすめる全世代型社会保障改革は事例の7割を占める60~70代高齢者にさらに経済的困難をもたらすとして、政策の見直しが必要だと強調しました。

 全日本民医連理事で九州社会医学研究所代表理事・所長の田村昭彦医師は、公表した事例は「社会的につくり出された早すぎる死」だと強調。経済的な心配をせずに受診できる制度の確立を訴えました。


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