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2019年2月15日(金)

きょうの潮流

 「鉄の暴風」を生きのび、虐げられながらも基地の島で成長していく若者たち。やがてそれぞれが、深い泉の底から噴き上がってくる声にこたえる“英雄”になろうと▼沖縄の戦後から日本復帰までの青春群像を描いた真藤順丈(しんどう・じゅんじょう)さんの小説『宝島』。島から奪われた大切なものを取り戻すことを「戦果アギヤー(戦果をあげる者)」という言葉に込めました。それは、沖縄の自由、主権でもありました▼辺野古の米軍新基地建設の是非を問う県民投票が告示されました。これまで何度も反対の民意を示しながら、工事が強行され、美(ちゅ)ら海に土砂が投入されていく。その現状への怒りを改めてぶつける絶好の機会です▼国民の安全よりも米国との軍事同盟と、あくまで無謀な計画にしがみつく安倍政権。それに対して全国が連帯し、ふたたび沖縄の圧倒的な意思を示すことは新たな展望を開くことになるでしょう▼「米軍基地はいらないと、ずっと行動してきた上の世代の人たちの思いを、私たちの世代につないでいきたい」。県民投票の実施にとりくんできた地元の大学生が本紙で語っていました。この動きは必ず未来につながると▼沖縄の出身ではない真藤さんは先の小説を書き上げるまで7年を要したといいます。「傍観者の視点ではなく、土地の声をすくい集めた」。そこで描かれた名もなき英雄=島ぐるみの願望の集合体。時代や背景は変われど、それは今、みずからの手で沖縄や日本をつくろうとたたかう多くの人びとの姿と重なります。


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