2019年2月14日(木)
鼓動
悪夢から再起期す池江選手
逆境の中でも前に進む力
競泳女子の池江璃花子(いけえりかこ)選手(18)が悪夢からの再起を期しています。12日に白血病を公表し、「さらに強くなった姿を見せられるよう頑張っていきたい」と心境をつづりました。
昨年、池江選手は5種目で日本記録を樹立し、めまぐるしい速度で急成長をとげました。日本が立ち遅れていた自由形とバタフライの短距離種目を世界最高水準に押し上げました。
その矢先、東京五輪を翌年に控えた悲劇でした。衝撃の大きさは計り知れません。しかし本人の口からは「(病名宣告から)1時間もしないうちに前向きな言葉が出てきた」(日本水泳連盟・上野広治副会長)といいます。
逆境の中からわき上がる推進力。それは池江選手自身が培ってきたものでもあります。
練習から悔し涙を流す努力家でした。ライバルのサラ・シェーストレム選手(スウェーデン)に打ち勝つための設定記録を下回ると「もっと力を出せたはず」と頬をぬらしました。新記録にも「次はもっと速く泳げる」と向上を期しました。
友情の絆が病に立ち向かう力をもたらしています。昨秋、池江選手と合同合宿したシェーストレム選手は、笑顔で並んで泳ぐ2人の写真をインターネット交流サイトに投稿。「ニュースを見て涙があふれた。私の全ての力と愛を贈ります」と激励の言葉を添えました。
プールに舞い戻り、ひたすら前へと泳ぎ進む日を信じて、いまはじっくりと治療に専念してほしいと願います。(勝又秀人)