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2019年2月10日(日)

きょうの潮流

 「政府を批判しない新聞は存在する意味がない」。ワシントン・ポストの経営者だったキャサリン・グラハムさんの信条でした。彼女はウオーターゲート事件の報道にふみきり、時の大統領を辞任に追い込みました▼政府を権力、新聞をメディアと置き換えてもいいでしょう。米国では昨年、トランプ大統領の会見をめぐり批判的な記者の記者証が取り上げられました。そのとき、政権と近い媒体も含め異議を唱え、記者の復帰を求めました▼翻って日本はどうか。いま権力の集中が進む官邸が会見の場から特定の記者を除こうとしています。事実を明らかにするための質問を封じ込めようと圧力をかけているのです▼標的にされたのは東京新聞の望月衣塑子記者。これまでも官邸側の質問妨害や菅官房長官のバカにしたような答弁が続いていました。新聞労連は偽った情報を用いて記者に「事実誤認」のレッテルを貼り、取材行為を制限しようとする行為は、ジャーナリズムと国民の知る権利に対する卑劣な攻撃だと▼メディアが権力に屈すれば国民にどんな悲惨をもたらすか。それは歴史が示しています。とくに軍国政治と一体になって破滅に導いた日本の新聞は、その反省の上に歩んできたはずです▼「ジグソーパズルを作るときのように、ひとつずつ真実を認めさせて、さらに裏を取っていく」。望月記者は自身の仕事を著書でそう語っています。権力の偽りや隠ぺい、メディアへの攻撃は連帯して対決していく。それもまた歴史の教訓です。


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