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2019年2月4日(月)

NHK日曜討論 笠井政策委員長の発言

 3日のNHK「日曜討論」で日本共産党の笠井亮政策委員長は、先月28日に開会した通常国会の焦点の政府予算案や相次ぐ統計不正、消費税10%増税、日ロ領土交渉などの問題で各党の政策責任者と議論しました。


国会論戦にどう臨むか

安倍政治サヨナラの論戦に徹する

 冒頭、通常国会の論戦にどう臨むかと問われ、自民党の岸田文雄政調会長は、18年度補正予算案と19年度予算案の成立に全力で臨むと述べました。

 笠井氏は「衆参の代表質問を通じて、安倍首相が国政の基本問題にまともに答えられない姿が浮き彫りになった」と指摘しました。

 そして、毎月勤労統計の不正や、それに伴って昨年の実質賃金の伸びが実態よりかさ上げされていた“賃金偽装”、消費税10%増税、大軍拡・憲法改悪の策動、沖縄・原発問題など、ウソ・ごまかしと強権姿勢などを挙げ、「こんな政治は終わりにしなければいけません」と表明。国会開会日の野党5党1会派の党首会談で、安倍政権打倒をめざし、参院選でも力を合わせると合意したことを紹介し、「暮らしも外交もまともに、いまこそチェンジ。安倍政治サヨナラの国会論戦に徹したい」と語りました。

統計不正

監察委員会の聴取記録を提出させ予算委で集中審議を

 統計不正問題をめぐって、立憲民主党の逢坂誠二政調会長は、根本匠厚労相の責任とともに「安倍総理の任命責任も問わねばならない」と強調。国民民主党の泉健太政調会長は、政府による自治体担当職員の人員削減が「現場へのしわ寄せになっている」と見直しを求めました。

 これに対し、公明党の石田祝稔政調会長は「日本人全体が情報や統計を軽視しすぎている」と述べ、国民に責任を転嫁しました。

 厚労相の政治責任を問われた自民党の岸田氏は「まずは実態解明が大事。それが不十分な段階で『責任』というのは順番から言っていかがか」と述べ、厚労相の更迭を拒否。立民の逢坂氏は「職員は全容解明の前に処分を発表されたり、更迭されたりしている」と岸田氏の矛盾を指摘しました。

 笠井氏は、国内の景気や国民の暮らしを測って政策判断の土台とする統計調査の不正を長年、国民に隠し続け、しかもこっそり修正していたことを批判し、「ウソとごまかしという政治のモラルの大崩壊をもたらした安倍政権の責任は重大だ」と主張しました。

 そして、のべ2千万人もの雇用保険給付の未払いが生じて現場が大混乱しているうえ、昨年の実質賃金が実際は下がっていたことが判明したとして、「こんなときに消費税10%への増税など論外だ。統計不正の全容解明は予算案審議の大前提だ」と強調しました。

 笠井氏は、全容解明をめぐって、厚労省が第三者委員会として設置した特別監察委員会の職員聴取に、人事権を持つ同省幹部が同席していた問題をあげ、「不正は底なしだ」「身内の“当事者委員会”そのものであって、絵に描いた組織的隠ぺいだ」と批判。関係者の国会招致とともに同委員会の聴取記録や議事録を含む資料・データを国会に提出させ、予算委員会で集中審議を行うことが「どうしても欠かせない」と求めました。

消費税10%増税

導入から30年間、社会保障拡充にはつながらなかった

 次に消費税増税問題の議論に進みました。自民党の岸田氏は、社会保障や財政など「日本の将来を考えた場合に消費税率の引き上げは避けて通れない。引き上げが円滑に行えるように経済環境の整備に努める」と増税に固執。公明党の石田氏は「軽減税率」など「さまざまな手を打っている」と弁明しました。

 笠井氏は「深刻な消費不況の中で10%へ増税していいのかが根本的に問われている」と指摘し、14年の8%への増税を機に実質家計消費が落ち込んでいる中で5兆円もの大増税を強行すれば「日本経済への破滅的影響は明らかだ」と強調。昨年の実質賃金が実際は下がっており、消費税増税の政府の前提は崩れたとし、「きっぱりと増税は中止すべきだ」と重ねて求めました。

 笠井氏はさらに、消費税導入後30年間の消費税収372兆円は法人税や所得税などが減った分の穴埋めに使われ、社会保障の拡充にはつながらなかったと指摘。軽減税率やポイント還元などの「景気対策」は、買う品物、買う店、買い方によって消費税率が5段階もある「奇々怪々」なもので現場は大混乱していると批判しました。

 立民の逢坂氏は「景気対策」は複雑なうえ「逆進性を拡大する恐れもある」として「今回の増税は見合わせるべきだ」と主張。国民民主の泉氏も、消費税などの間接税引き上げを続けるのか「考え直す時期だ」と述べました。

日ロ領土交渉

領土不拡大の戦後処理に背く不公正をただしてこそ

 日ロ領土問題をめぐっては、安倍首相は「平和条約締結後に、ソ連は日本に歯舞・色丹を引き渡す」と明記した1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を加速させ、任期中に領土問題に終止符を打つと宣言しています。

 これについて、笠井氏は「安倍首相の方針を歯舞、色丹の『2島先行(返還)』と見る向きもあるが、そうではなくて『2島で決着』――国後、択捉の領土要求ははなから放棄して、最大でも歯舞、色丹の2島返還で平和条約を締結して領土問題を終わりにしてしまうもので、絶対に許されない」と主張しました。

 日ロ領土問題の根本には、45年のヤルタ協定で米英ソが「千島列島の引き渡し」の密約を結んで、それに縛られて51年のサンフランシスコ平和条約で日本政府が国後、択捉を含む千島列島を放棄した問題があると指摘。「領土不拡大という戦後処理の大原則に背く不公正をただして、千島列島の返還を求める立場に立ってこそ問題解決の道が開かれる」と強調しました。

 自民の岸田氏は「4島は間違いなくわが国の固有の領土だ」などと答えるにとどまりました。

沖縄新基地建設

全県実施県民投票 首相は結果尊重を

 最後に、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設問題が議論され、立民の逢坂氏は「辺野古の工事は立ち止まるべきだ。工事を強行すれば暴力に等しい」、と批判し、国民の泉氏は、辺野古「移設」が持ち上がった96年当時とは状況が違っていると述べ、計画の再検討を求めました。自民の岸田氏は「県民に丁寧に寄り添う」と言いながら、工事を進めていかないといけないと強弁しました。

 笠井氏は「安倍首相は『沖縄県民の心に寄り添う』と口では言うが、実際には民意を無視して辺野古の海を埋め立てる土砂投入を強行している。県民や国内外で中止を求める声が広がっている。新基地建設はきっぱりと中止して、普天間基地の無条件撤去を求めてアメリカ政府と交渉すべきだ」と力を込めました。

 さらに、2月24日の辺野古埋め立ての是非を問う県民投票について、「自民党を含む全会派の賛成で投票条例が改正され、県内全市町村で実施される。安倍首相は今回ばかりは投票結果を尊重すべきだ」と強調しました。


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