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2019年2月1日(金)

安倍政権の行き詰まり深刻

希望持てる新しい政治を

衆院本会議 志位委員長の代表質問

 31日の衆院本会議で代表質問に立った日本共産党の志位和夫委員長は、安倍政権があらゆる問題で深刻な破綻に陥っていると鋭く告発し、「市民と野党の共闘で、安倍政権を倒し、国民が希望のもてる新しい政治をつくるために全力をあげる」と表明しました。


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(写真)衆院本会議で代表質問する志位和夫委員長=31日

統計不正

政治モラル崩壊が温床 解明は予算審議の前提

 国政を揺るがしているのが、厚生労働省の毎月勤労統計の不正問題です。被害は、雇用・労災保険などで延べ2000万人、567億円。基幹統計の不正は、政府の経済認識や、税・社会保障・労働に関わる政策判断に影響し、来年度政府予算案の審議の前提を揺るがす事態となっています。

 志位氏は、2004年以来の統計不正で、厚労省が18年1月から不正調査を「修正」する措置を秘密裏に行っていたと指摘。厚労省が設置した特別監察委員会の報告書では、局長級幹部が担当室長から不正調査を報告され、「修正」を指示し、指示にもとづいて「修正」が行われたとしていることを指摘しました。

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 「不正調査の事実を知りながら、国民に報告せず、国民に隠れて『修正』を行う。これを組織的隠ぺいと言わずして何というのか」。志位氏は、組織的隠ぺいを否定した報告書の結論は当然、撤回されるべきだと迫りました。

 安倍晋三首相は“お手盛り”だった調査について「独立性を強めた」と弁明。まともな検証もないもとで「再発防止」を繰り返しました。

 志位氏は、統計不正の温床となったのが「安倍政権によって引き起こされた政治モラルの大崩壊」だと強調。「修正」を始めた18年1月から、不正が発覚する12月までの間は、裁量労働制や森友疑惑、外国人労働者などの問題で、隠ぺい、改ざん、ウソが次々と明らかになった時期だと指摘しました。

 「真相解明は予算案審議の大前提だ」とし、徹底解明を最優先するよう強く求めました。

消費税10%

道理なし四つの大問題 富裕層大企業優遇正せ

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 志位氏は10%への消費税増税の「四つの大問題」を提示。「道理のかけらもない」と事実を示して増税中止を迫り、消費税に頼らない道を選ぶべきだと主張しました。

 一つ目の問題は、日本経済が深刻な消費不況に陥っていることです。14年の8%への増税を機に、GDP(国内総生産)ベースの実質家計消費支出(持ち家の帰属家賃は除く)では3兆円も落ち込んでおり、5兆円の大増税を強行すれば経済に破滅的影響を及ぼします。

 二つ目の問題として志位氏は、安倍首相が10%への増税延期を決めた16年6月時点と比べても、今の日本経済は悪化し、世界経済のリスクは高まっていると指摘。18年7~9月期のGDPは年率マイナスに転じて大きく落ち込んでおり、世界経済は米中貿易戦争などで不安定さを増していると述べました。

 三つ目の問題として、政府が消費税増税の根拠としていた「賃金は上昇」との認識は虚構だったと述べ、毎月勤労統計調査の不正問題を受けて実質賃金は下方修正され、伸び率がマイナスになる可能性が明らかになったと追及。「少なくとも統計不正の事実解明抜きに増税を強行することは論外だ」とただすと、首相は「増税の方針に変更はない」と開き直りました。

 志位氏は、四つ目の問題として消費税増税の「景気対策」に広範な批判があることを指摘しました。特に「ポイント還元」は複数税率とセットになり、買う商品、買う場所、買い方が違えば税率が5段階にもなり、混乱と負担、不公平をもたらします。日本スーパーマーケット協会などが見直しを求めています。

 「国民の批判も現場の意見も無視して天下の愚策を強行するのか」と迫る志位氏に、首相は「需要喚起策などの要望を踏まえた」ものと居直りました。

 志位氏は、大もうけをしている富裕層と大企業への優遇税制にメスを入れれば、10%への消費税増税分の税収が確保できると述べ、経済同友会やOECD(経済協力開発機構)は、異常に軽い富裕層への証券課税の税率引き上げを求めていると強調。消費税に頼らない別の道を選ぶべきだと提案しました。

大軍拡・改憲

“浪費的爆買い”やめよ 無理筋改憲許されない

 志位氏は、政府が狙う「いずも」型護衛艦の空母化や、長距離巡航ミサイルの導入に関し「これまで政府が『いかなる場合も(保有は憲法上)許されない』としてきた『攻撃的兵器』そのものだ」と批判し、大軍拡をやめ税金を福祉と暮らしに優先して使うよう強く求めました。安倍首相は「自衛隊員の安全確保のための必要最小限のものだ」と強弁しました。

 志位氏は、F35戦闘機を147機体制にするなど、トランプ大統領言いなりの2兆円超の兵器購入計画に「目的がまったくみえない」との批判が航空自衛隊元幹部からも寄せられていると指摘。「『専守防衛』の建前すらかなぐり捨て、『浪費的爆買い』に走る。一かけらの道理もない大軍拡はきっぱり中止すべきだ」と迫りました。

 安倍首相は「わが国の主体的な判断のもと取得を決定した。浪費的爆買いとは、まったく的外れな間違いだ」などと根拠も示さず居直りました。

 また、志位氏は、安倍首相が施政方針演説で9条改憲に固執する姿勢を示したのは、憲法99条の「閣僚の憲法尊重・擁護義務に反する『無理筋』な行為だ」と批判。昨年、自民党改憲案の憲法審査会への提案がとん挫したことなどに触れ「『無理筋』という自覚があるか」とただしました。

 安倍首相は、99条について「憲法が定める改正手続きによる憲法改正について検討し、主張することを禁止する趣旨のものではない」などと詭弁(きべん)を弄(ろう)しました。

 志位氏は「日本共産党は海外での無制限の武力行使に道を開く9条改憲を断念に追い込むために、全力で奮闘する」と表明しました。

辺野古新基地

詐欺師同然のやり方だ 普天間無条件撤去こそ

 志位氏は、政府が昨年12月に強行した沖縄県名護市辺野古の海への土砂投入に関し「法治主義、民主主義、地方自治を踏みつけにした無法な暴挙に、沖縄県民の怒りが沸騰している」と強調。新基地建設を中止して普天間基地(宜野湾市)の無条件撤去を求め米国と交渉するよう求めました。

 志位氏は、安倍首相が土砂投入区域におけるサンゴ移植に関してウソの発言をしたことについても「強い怒りが集中している」と指摘。「こうした言動のどこに(沖縄に)『寄り添う』姿勢があるのか」と批判しました。

 志位氏は、埋め立て海域での軟弱地盤の存在を示す報告書を政府が2年間も隠していたことに言及。政府が改良工事のため、設計変更に着手する方針を固めたとの報道に関し「真実を隠して新基地建設の既成事実を先行し、県民の諦めを誘った上で設計変更に着手する。詐欺師同然の卑劣なやり方だ」と一刀両断しました。

 安倍首相は報道の内容を認め「地盤改良工事の追加に伴い、沖縄県に対し、変更承認申請を行う必要があるため、沖縄防衛局において検討を行っていく」と述べました。

 また、志位氏は、設計変更には玉城デニー知事の承認が必要だと指摘し「知事は新基地建設を許さない断固たる決意を繰り返し表明している。辺野古新基地は決して造れない」と強調。2月24日実施予定の、辺野古埋め立ての是非を問う県民投票の結果を「尊重することを強く要求する」と迫りました。

 安倍首相は「政府として見解を述べることは差し控える」と正面から向き合うことを拒否しました。

原発輸出

ビジネスでも成立せず 「ゼロの日本」の実現を

 志位氏は、安倍首相が「成長戦略」の目玉に位置付けトップセールスを行ってきた原発輸出が総崩れに陥っている(別項)と指摘。「原発はビジネスとして成り立たない。この現実を認めるべきだ」と迫りました。

 米国、インド、英国などで失敗した原発輸出に関し、志位氏は「国内では『コストが安い』とウソをついて再稼働を行うなど論外だ。『原発ゼロの日本』の実現、『再生エネルギーへの大転換』を強く求める」と強調しました。

 安倍首相は、電気代の上昇や気候変動問題への対応、日本のエネルギーの海外依存度などを列挙し「原発ゼロは責任あるエネルギー政策とはいえない」と従来の見解を繰り返しました。

総崩れとなった日本の原発輸出計画

2014年 台湾 日立、東芝、三菱重工で計画したが市民の反対で凍結

 16年 リトアニア 日立が受注したが、国民投票で「反対」となりとん挫

     ベトナム 三菱重工、東芝との建設合意を撤回

 18年 アメリカ 東芝子会社が巨額損失で撤退

     インド 輸出を視野に入れた原子力協定を結ぶが、ロシア企業が受注

     トルコ 三菱重工が建設合意するが建設費高騰で断念

     イギリス 日立が計画するが、事業費高騰で凍結

日ロ領土問題

歴代政府方針すら否定 戦後処理の不公正正せ

 安倍首相が日ソ共同宣言を基礎に日ロ平和条約交渉を加速させ、自らの任期中に領土問題に終止符を打つと述べていることに関し、志位氏は「極めて危うい方針だ」と指摘し、戦後処理の不公正をただす立場で交渉に臨むべきだと主張しました。

 志位氏は、歯舞、色丹の2島返還のみで平和条約を締結すれば「歴代自民党政府の方針すら自己否定する、ロシア側への全面屈服だ」と指摘。「国後、択捉の領土要求を放棄して平和条約を結ぶことはないと、明言していただきたい」と迫りました。

 安倍首相は交渉内容や考え方は「交渉に悪影響を与えないためにも答えは差し控える」と述べるにとどまりました。

 志位氏は、領土問題の根本に「1945年のヤルタ協定で、ソ連のスターリンの求めに応じ米英ソが『千島列島の引き渡し』の密約を結び、それに縛られて51年のサンフランシスコ平和条約で日本政府が国後、択捉を含む千島列島を放棄したという問題がある」と指摘。領土不拡大の原則に反した戦後処理の不公正を正す立場に立ち「千島列島の返還を求めてこそ解決の道は開かれる」と強調しました。

 安倍首相は「わが国は千島列島に対するすべての権利、権原、および請求権を放棄しており、千島列島の返還を求めることはなしえない」などと述べました。


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