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2019年1月30日(水)

奨学金 保証料に悲鳴

「破産も」学生から怒り

高額兵器より給付型に

 多くの学生が利用している日本学生支援機構の貸与型奨学金について、文部科学省は、保証人制度をなくし、全員が保証機関に保証料を支払う機関保証への一本化を視野に見直しを始めました。保証料の負担は重く、奨学金を利用する大学生や大学院生からは「個人に責任を押し付けるのではなく国が負担するべきだ」など怒りや不安の声が上がっています。(原千拓)


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(写真)奨学金制度への不満を語る大学院生

 現在、同機構で学生が貸与型奨学金を申し込む際には、連帯保証人や保証人を立てる「人的保証」か、保証料を支払う「機関保証」を選択する必要があります。

 都内で私立の夜間大学に通う大学1年生の男性(19)は、有利子の奨学金を4年間、月12万円、「機関保証」で借りました。毎月約6500円の保証料が天引きされます。

 男性の実家はキノコ農家でしたが、経営が成り立たなくなり撤退。両親はアルバイトをしながら生計を立てている状況で、保証人になってもらうことはやめました。男性は「(保証料は)もったいないし悔しいなと思うけど、親に迷惑をかけないなら、こっちの方がいいのかな」といいます。

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(写真)都内の私立大学1年生の奨学金返済予定額などが記載されている用紙(上)と2018年11月までの振り込み明細(下)。貸与開始から終期までの貸与額(予定)は576万円です

バイトを増やす

 「機関保証」は、貸与期間中に一定額の保証料を支払う代わりに、返済時に延滞した場合、保証機関が機構に残額を一括返済する制度です。その後、保証機関が機構に代わって奨学生に請求します。機関保証制度に一本化すれば、貸与型奨学金を利用する全学生に保証料の負担が及ぶことになります。

 この男性は週4日、午前8時から午後5時までアルバイトをしています。「それでも月12万円。就職したらほんとうに奨学金を返すことができるのか」。不安に思ってバイトをもう一つ増やし、奨学金を3月に解約することを決心しました。男性は「国は税金を1機100億円以上の兵器などの軍事費に充てる。そのようなお金があれば十分に給付型奨学金ができるのに」といいます。

個人責任やめて

 全国大学院生協議会(全院協)議長の葛谷泰慣(くずや・たいかん)さん(24)は昨年4月に私立大学院博士課程に進学しました。保証人を立てて月に約12万円の奨学金を借りています。

 「機関保証だと月5629円の保証料になり、毎月のスマホ代よりも高い」。これだけ払うのはさすがにつらいと思いました。「いかに取り立てるかみたいな状況になっている。奨学金に関連する破産もあり、学生からしたら本当にたまったもんじゃない」と怒ります。

 葛谷さんはいいます。「できることなら借金やローンを抱えることなく、自分の得意分野で力を生かして働き始めたい。実際にはお金を借りたりバイトをしないと研究ができない。個人に責任を押し付けるのではなくて、本当だったら国が負担すべきだと思う」

政府による保証こそ 日本共産党の提案

 日本共産党は奨学金返済への不安と負担を軽減するために「借金取り立て」を優先させる姿勢をあらため、個人への連帯保証人・保証料徴収を廃止し、政府保証にすることを政策として掲げています。また、▽国立、私立大学の学費を10年間で半減する▽給付制奨学金の拡充▽すべての奨学金を無利子化▽既卒者の奨学金返済の減免制度をつくり、生活が困窮する場合の救済措置を講じる―など学費・奨学金の抜本改革を目指します。


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