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2019年1月28日(月)

ベネズエラ情勢めぐり 国連安保理が緊急会合

 【ワシントン=池田晋】国連安全保障理事会は26日、政情が不安定化する南米ベネズエラの情勢をめぐり緊急会合を開きました。開催を要請した米国のポンペオ国務長官は、「(政権か反対派か)どちら側につくか決める時だ」と述べ、旗幟(きし)を鮮明にするよう各国に要求。一方、ベネズエラのアレアサ外相は、米国を「クーデターの先導者」と呼び、内政干渉だと非難しました。


 ポンペオ氏は会合で、ベネズエラのマドゥロ大統領と対立するグアイド国会議長を暫定大統領として承認するよう国際社会に訴えました。また早期に自由で公正な選挙の実施を呼び掛けました。会合後には記者団に対し、「マドゥロ政権を金融システムから断絶させ、ベネズエラ国民が所有すべき資産が正統な統治者にわたるよう」各国に期待すると述べました。

 マドゥロ大統領は昨年5月、野党の有力候補を実質排除した大統領選挙で勝利し、今月10日に2期目の就任を宣言。選挙結果の正当性がないと主張してきた野党が多数を占める国会は、2期目就任を認めませんでした。23日に憲法を根拠にグアイド氏が暫定大統領に就任を宣言すると、米国やブラジルなど米州の半数近い国が承認しました。

 マドゥロ政権を支持しているロシアのネベンジャ国連大使は、これに先立ち、今回の問題は米国によるクーデターの企てだと主張。ベネズエラ情勢は内政問題であり、「平和と安全への脅威ではない」と指摘し、安保理で扱うべきではないと訴えました。これに対しポンペオ氏は、300万人が国外避難を余儀なくされ、「平和と安全を脅かしている」と反論しました。

 また、ベネズエラのアレアサ外相は、英仏独などが8日以内に選挙の実施を決めなければグアイド氏を暫定大統領として認める用意があると表明したことに反発。要求を拒否する一方、地域主導の対話枠組みは「支持する」と述べました。

 会合には安保理理事国以外の中南米諸国も多数出席。自制と対話による解決を求める声があがり、国連憲章に基づく内政不干渉の原則と、武力によらない平和的解決を強調しました。

 国連のディカルロ事務次長(政治問題担当)は混乱の中で少なくとも20人の死亡が報告されているとし、全当事者に事態悪化を避けるため「最大限の自制」と「包括的・政治的な対話」を促しました。

 安保理議長を務めたドミニカ共和国のバルガス外相は、「全利害関係者が参加の対話でのみ、和解に到達し、新たな選挙実施の条件を見いだしうる」と強調しました。

 バルバドスは、カリブ共同体の共同声明(24日付)を読み上げ、対話促進のための仲介を申し出ると表明しました。


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