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2019年1月27日(日)

主張

中教審・働き方答申

教職員の増に踏み込むべきだ

 中央教育審議会(中教審、文部科学相の諮問機関)が公立学校教職員の「働き方改革」について答申を出しました。しかし答申は異常な長時間労働の解消に必要な教職員増がないなど、不十分な内容に終わりました。

安倍政権がブレーキに

 教職員の増員は、関係者のだれもが一致するところです。日本共産党が各地で進めている懇談でも、教員1人あたり「1日4コマ」の授業負担という国の基準が投げ捨てられたことに今日の長時間労働の大本があること、そこを正して教員の授業負担の上限を定め、そのために10年で9万人の定数増を行うという党の提言(昨年11月発表)が、校長、教育長などを含め広い共感を呼んでいます。

 中教審の議論でも、「持ち授業時間数の上限を」「人材確保、予算確保を」と、多くの委員から教職員の定数増を求める意見が相次いで出ていました。

 にもかかわらず答申には、定数の抜本増は盛り込まれませんでした。教育予算の増額につながる提案はさせないという安倍晋三政権の圧力が、答申にブレーキをかけたことは明らかです。

 答申は、教員がいくら残業しても残業代を支払わないという現行制度も維持するとしました。これも安倍政権のもとで踏み込めなかった部分です。

 教職員増なしに現在の大幅な残業時間をなくそうとすれば、無理がきます。答申が「より短い在校等時間でその成果を上げた教師に高い評価を付与する」としたのもその一つです。「効率」や「時短」だけが声高に叫ばれれば、必要な授業準備や子どもへのていねいな関わりが問題視される本末転倒となります。

 一方、教育にとって不要不急な業務の削減は、ただちに実行可能なこととして重要です。この点では「指導体制を整えないまま標準授業時数を大きく上回った授業時数を実施すること」はやるべきではないとし、「勝利至上主義」による早朝等の部活の練習や形式的な研究指定校の見直し・削減をいうなど、答申は業務削減の足掛かりとなる内容をある程度含んでいます。

 答申は1年単位の変形労働制の導入も打ち出しました。夏休み中などの業務を減らし、その分、学期中の勤務時間を延長するものですが、残業時間をつけかえても長時間労働はなくなりません。学期中の残業に拍車がかかり、子育てや介護との両立も困難になります。そんなやり方でなく、業務削減や学校閉庁などで、教員の夏休みや自主的研修の権利を保障すべきです。

学校・地域で対話と共同を

 日本共産党の提言は▽持ち授業時間数の上限を定め、そのための定数改善を▽学校の業務削減を国と自治体、学校現場の双方から推進する▽残業代をきちんと払い、残業時間を規制▽非正規教員の正規化と待遇改善―などを内容としています。これらは教育関係者、保護者、住民らが立場を超えて一致できるものです。

 長時間労働の是正はまったなしです。学校・地域で対話と共同を広げましょう。そして、定数増に背を向ける安倍政権を代える必要があります。統一地方選挙・参議院選挙を定数増に道を開く選挙にしましょう。


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