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2019年1月27日(日)

「国民世論呼び覚ます」

自民党運動方針案 改憲へ執念示す

 自民党が2月10日の党大会で採択する2019年「党運動方針案」の内容が明らかになりました。

 安倍晋三首相(党総裁)が激しい執念を見せる改憲について、方針案の前文で「時代の転換点に立つ今、改めて国民世論を呼び覚まし、新しい時代に即した憲法の改正に向けて道筋をつける覚悟である」と明記。方針案原案にはなかった「国民世論を呼び覚ます」との表現が新たに加わりました。

 他方、方針案の本文に「改憲」の項目はなく、昨年の運動方針で「改正案を示し、憲法改正の実現を目指す」としていたのと比べ抑制されています。

 安倍首相と自民党は昨年中の改憲発議を目指しましたが、強硬で拙速な改憲姿勢に国民世論と野党が強く反発し、臨時国会でも改憲案提示の断念に追い込まれました。選挙の年であることも重なって「改憲」の打ち出しを慎重にしたものとみられますが、原案にあった「これまでの経過を尊重しつつ、改めるべきは改める」との表現は削除。打ち出しを慎重にしているのは戦略的配慮からで、改憲の強い位置づけに変わりはありません。

 選挙については「本年は統一地方選と参議院議員通常選挙が行われる12年に一度の決戦の年」と位置づけ。「まずは総力を挙げて統一地方選の必勝を期し、勢いを加速させ参院選で勝利を得る」とし、「夏の第25回参院議員通常選挙の最大のポイントは32ある一人区の勝敗である」として野党共闘との対決を強く意識しています。

解説

国民世論を強く意識

 改憲へむけ「改めて国民世論を呼び覚ます」とした自民党の2019年「運動方針案」。安倍9条改憲に対し国民世論の多数が反対していることを意識し、草の根で改憲論議を進める強い意思を明確にしました。安倍晋三首相(党総裁)の改憲への変わらぬ執念のあらわれです。

 自民党は全国の衆院小選挙区単位での改憲推進本部の設置を急いでおり、それを「督促」する通達(23日付)を全国の小選挙区支部に向け発しています。

 自民党の下村博文党憲法改正推進本部長は、昨年12月5日の日本会議系の改憲集会で地域レベルの改憲推進本部を基礎に「国民投票に向けて連絡会をつくりたい。202(支部)までめどが立った。まだ90弱残っているが何とか年内に達成したい」と述べていました。新たな通達は、その遅れを巻き返そうとするもの。運動方針案にある「国民世論を呼び覚ます」の言葉と一体に、草の根の憲法対決を基礎として9条改憲をあくまで進めるむき出しの執念を示すものです。

 運動方針案の重点項目に「改憲」を掲げなかったのは、昨年、安倍首相を先頭に改憲発議を目指したものの、改憲発議どころか国会への改憲案提示すらできなかったことを受け、国民世論の反発に配慮せざるを得ないからです。

 首相主導で強く打ちださない限り改憲が進まない一方、安倍首相が改憲を語れば語るほど、国民が警戒、反発を強めるという深いジレンマがあります。(中祖寅一)


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