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2019年1月22日(火)

26人が38億人分の富

広がる格差 税負担公平に

1年間の収入

 国際援助団体オックスファムは21日、超富裕層26人が昨年得た富は、世界の下位38億人の1年間の収入に相当し、超富裕層が一層、もうけを上げている実態を告発しました。格差拡大は、「貧困とのたたかいを台無しにし、経済に悪影響を与え、世界中の人々の怒りに油を注いでいる」と指摘。富裕層と大企業に公平な税負担を求めました。(鎌塚由美)


国際援助団体が告発

 「公共の利益か私有財産か」と題した報告書は、スイス・ダボスで世界的大企業のトップが集まる世界経済フォーラムに先立って公表されました。富裕層は昨年、9000億ドル(約99兆円)も富を増やした一方、下位の38億人は11%の収入減に。富裕層は毎日25億ドル(2750億円)の収益を上げた計算です。

 下位50%に相当する富を持つ超富裕層は、一昨年の43人から26人に減り、「富はますます集中」しています。2008年の世界経済危機からの10年間で、富裕層の富は倍加したとしています。

 超富裕層が史上最高の富を得る一方、所得税率はこの10年で最低レベルに引き下げられています。報告書は、財産に対しては「特に過少課税だ」と指摘。先進国の個人所得税の最高税率は1970年代には平均62%でしたが、13年には同38%まで低下しています。

 英国やブラジルなど一部の国では、収入に対する税負担は、上位10%の人々より下位10%の方が重いと紹介。各国政府は、「不公平をただすために富裕層の税率引き上げに努力すべきだ」と訴えました。超富裕層が、7兆6000億ドル(約836兆円)の税逃れをしているとも指摘しています。

 報告書は、上位1%の富裕層が0・5%より多く納税すれば、「学校に通っていない2億6200万人の子どもが学校に行け、330万人の命が救える医療が提供できる」と紹介。米国の小売り大手アマゾン・ドット・コムの創業者ベゾス氏は昨年、財産を1120億ドル(約12兆3200億円)に増やし世界一の富豪となりましたが、同氏の財産の1%があれば、1億500万人の人口を抱えるエチオピアの保健予算が賄えるとしています。


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