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2019年1月18日(金)

主張

「政治改革」30年

小選挙区制が政治劣化させた

 1選挙区で1人の議員を選ぶ小選挙区制の衆議院選挙への導入と、税金で政党財政を賄う政党助成制度を柱とする「政治改革」が持ち出されて、今年で30年です。

 「政権交代」可能な制度を目指すなどが口実で、一時は自民党から民主党への政権交代もありましたが、今では一昨年の総選挙でも31%の得票率(比例代表)で全議席の61%を獲得した、自民党・安倍晋三政権の“独裁”状態です。見返りを求める企業献金の弊害を排除するというのが名目の政党助成制度の実施も、自民党などへの企業献金はなくならず、事実上“二つの財布”となっています。

“虚構”の多数もたらす

 「政治改革」は、1989年5月に自民党が「大綱」を出し、海部俊樹政権が91年に最初の法案を提出、宮沢喜一政権、細川護熙政権、羽田孜政権を経て、村山富市政権の下、94年秋にすべての法律が成立し、95年に橋本龍太郎政権が一部「修正」して、96年の総選挙から実施されました。リクルート事件やゼネコン汚職など、自民党政権の下で相次いだ金権・腐敗政治がきっかけでした。

 同じ選挙区から複数の議員を選ぶそれまでの中選挙区制では、政党の“同士打ち”になり政党本位・政策中心の選挙にならないとか、見返りを求める企業献金を放置したのでは金権・腐敗政治がなくならないとか、もっともらしい口実をつけて、自民党などが強行したのです。

 法案審議の段階から、日本共産党だけでなく、多くの野党、自民党内などから、得票が1票でも多ければ議席が獲得できる小選挙区制は政権党に圧倒的に有利で、議席に結び付かない「死票」が大量に出ることや、思想・信条に関わりなく国民に負担を押し付ける政党助成金は憲法にも違反しているなどの強い批判が出されました。

 しかもこの30年近くの間に、当初、「並立制」で小選挙区は300、比例代表は200で行われた選挙制度は、その後「定数削減」や「定数是正」の口実で、今では小選挙区は289、比例代表は176と小選挙区の比率が高くなり、ますますゆがみが拡大しています。一昨年の総選挙で自民党が3割台の得票で6割を超える議席を獲得したように、民意と議席の乖離(かいり)は目に余るものがあります。安倍政権の300近い議席は、文字通り、小選挙区制に支えられた“虚構”の「上げ底」多数です。

 見落とせないのは、「政治改革」の結果、候補者の決定権や政党助成金の配分権を握った党執行部の権限が強まり、「安倍1強」ともいわれる権限集中の背景となっていることです。かつて自民党の幹事長を務めた古賀誠氏も最近の週刊誌で、「小選挙区では党の政策に忠実でないと公認がもらえない。党総裁の意向には逆らえなくなる」と、その弊害を指摘しています(『サンデー毎日』20日号)。

比例代表中心の制度に

 政治資金の面でも、一昨年の自民党の国と地方を合わせた収入は、企業・団体献金が66億4748万円余り、政党助成金が176億296万円余りとなっているように、“二つの財布”は明白です。

 主権者・国民の意思をまっすぐ政治に反映させるには、民意と議席が乖離しない比例代表中心の選挙制度を実現するとともに、政党助成金の廃止が不可欠です。


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