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2019年1月17日(木)

主張

19年のスポーツ界

本来の力と役割が問われる年

 今年のスポーツ界は、9月に日本で開催されるラグビー・ワールドカップや、1年半後の東京オリンピック・パラリンピック代表選考会などが続きます。関心の高まりの一方、疑惑や不祥事に国民の厳しい目が向けられる中で、スポーツ本来のあり方、五輪開催の意味が改めて問われる1年です。

五輪招致疑惑の解明急務

 東京五輪・パラリンピック招致に絡む贈賄疑惑でフランスの捜査当局が日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長の訴訟手続きに入ったとされる問題は、五輪開催の土台に関わる深刻な事態です。疑惑があいまいのままで五輪への国内外の理解は得られません。竹田会長をはじめ招致の中心的な関係者は、すすんで疑惑を解明する責任があります。

 昨年、スポーツ界は暴力的体質などが問われる不祥事が相次ぎました。信頼回復には、選手の人権を柱にし、科学的で合理的な指導に徹する体制の確立、民主的なルールを貫く組織改革に力を注ぐことです。基本は当事者の自浄努力で、国はその方向を後押しし、自主的な打開の道を社会的支援で切り開くことが求められています。

 東京五輪・パラリンピックへの競技力向上と選手強化が適切に取り組まれるためには、メダル獲得を国威発揚のようにあおるのでなく、選手やコーチが競技やトレーニングに専念でき、力を発揮できる環境整備など、しっかりした基盤をつくることです。

 代表選考基準の明確化や透明性確保に努めなければなりません。過密な日程で出場権獲得の予選や国際試合などが組まれる傾向があるだけに、選手の酷使を避ける十分な配慮も必要です。

 強く懸念されるのが、猛暑や異常気象の影響です。7月の東京五輪の会期自体が大問題です。大会組織委員会や東京都は、競技時間の変更、マラソンコースの遮熱性舗装などを検討していますが、それで対応できるのか。選手はもとより観戦者の健康と安全確保に万全な対策を講じるため、会期の見直しを含め再検討が急がれます。

 パラリンピックを目指す障害者アスリートの活動条件の充実は切実です。練習施設のバリアフリー化、車いすや補助具の保障、専門指導者の増員やガイド(案内人)などの人的支援は、選手、家族、競技団体の負担を軽減するもので、国の振興策で助成すべきです。

 スポーツを通じて、世界の平和を実現していくことは、痛切な願いです。昨年の平昌冬季オリンピックを契機に、韓国と北朝鮮との対話が進み、朝鮮半島の平和に向けた新たな動きが生まれています。国際交流による諸国民・民族の相互理解を促進することができるスポーツの力について多くの人は手ごたえを感じています。

平和を推進する力として

 平和への流れを引き継ぎ、今年のラグビーW杯、それに続く東京五輪・パラリンピック大会が“平和の祭典”として発信できるよう力を合わせることが重要です。そのための努力は、北東アジアをはじめ世界の平和秩序の構築に積極的に貢献していくことでしょう。

 安倍晋三政権が「戦争をする国」に向けた動きを加速する中、憲法9条を持つ国で開催されるスポーツの国際交流の舞台に、平和への思いと力を結集していくことが、期待されています。


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