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2019年1月12日(土)

「サンゴ移植」安倍首相のウソ

NHKの責任重大

チェックの時間十分あった

 沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設にともなう土砂投入をめぐり、安倍首相が、「あそこのサンゴは移している」と事実と異なった発言をしたことが、問題になっています。発言を放送したNHKは10日、「報道機関として自主的な編集判断にもとづいて放送した」との見解を示しましたが、首相の発言のウソを正すことも批判することもなく、そのまま報道したことは、報道機関のあり方として厳しく問われています。

 首相の発言は、1月6日放送の「日曜討論」。昨年12月14日の土砂投入開始を踏まえ、司会者が「沖縄県民の理解をどう得るか」との質問に答えたもの。サンゴの移植にふれた後、「絶滅危惧種が砂浜に存在していたが、砂をさらって別の浜にうつしていくという環境の負担をなるべく抑える努力もしている」とものべました。

 しかし、この一連の発言に、沖縄県は、土砂が投入されている区域からはサンゴは移植されていない、環境保全策が十分になされているとはいえない―と“反論”しています。フェイク(うそ)をそのまま報道した責任は重大です。

 NHKの山内昌彦・編成局計画管理部長は、10日、「番組内での政治家の発言についてNHKとしてお答えする立場にない。事実と異なるかどうかという他社の報道についてもNHKとしてコメントする立場でない」とものべました。

 しかし、首相の動静欄によると、「日曜討論」の収録があったのは、4日の夜8時すぎのこと。ファクトチェックする時間は十分にあったはずです。首相による「印象操作」に加担したといわれても仕方がありません。

 一方、NHKはニュース報道でも、沖縄県民はじめ多くの反対を無視して安倍政権が強行した土砂投入の映像は延々と流すなど、新基地建設を既成事実化したい安倍政権への忖度(そんたく)が見え隠れします。揚げ句のはてに、「沖縄県と政府の対立は、さらに激化は避けられない情勢」などと“中立”を装うコメントをするのでは、メディアの資格が問われざるをえません。

 (藤沢忠明)


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