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2019年1月8日(火)

主張

改憲への執念

度重なる首相発言、異常の極み

 安倍晋三首相が年明けから、改憲発言を重ねています。首相に求められる「憲法尊重擁護義務」を踏みにじる、異常の極みです。

 年頭所感でこそ触れなかったものの、4日の伊勢神宮参拝後の年頭記者会見では「国会において活発な議論がなされ、できる限り広範な合意が得られることを期待する」と答え、5日の地元・山口県下関市での後援会新年会でも改憲を含め、「新たな国づくりに挑戦する1年にしていきたい」と発言しました。6日のNHKインタビューでも2020年に新憲法を施行するという「気持ちは全く変わりはない」と明言しました。

「戦争する国づくり」

 憲法99条は国務大臣や国会議員など公務員に、「憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めています。一連の首相の改憲発言がこうした規定に反することは明白です。

 一昨年5月に憲法9条に自衛隊を書き込むなどの明文改憲を言い出した首相は、昨年の臨時国会に自民党改憲案の提示を目指しましたが、野党と国民のたたかいに阻まれ、実現できませんでした。首相周辺からさえ「『安倍色』の払拭(ふっしょく)」などの声が出たのに、改憲発言を控えるどころか、年明けの一連の発言は、改憲の執念にいささかも変化がないことを改めて示しています。

 「安倍改憲」に反対し、憲法を守り生かす国民の世論と運動を強め、安倍政権もろとも改憲策動に終止符を打つことが必要です。

 首相は改憲を「新たな国づくり」だといいますが、それは文字通り「戦争する国づくり」です。憲法9条に自衛隊と書き込めば、9条1項、2項の戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認の規定が空文化・死文化し、自衛隊が文字通り大手を振って、海外での戦争に参加することになります。そうした危険な「国づくり」を断じて許すわけにはいきません。

 首相は年頭記者会見で、「具体的な改正案を示して、国会で活発な議論を通じ、国民的な議論や理解を深める努力を重ねていくことが選挙で負託を受けた国会議員の責務」と述べました。行政府の長である首相が立法府に号令をかけ、「三権分立」の原則を投げ捨てる言語道断な発言です。国会議員の責任は憲法を「尊重擁護」することであって改憲ではありません。首相はこれまでもたびたび国会に改憲論議を求めています。「憲法尊重擁護義務」だけでなく「三権分立」の原則を踏みにじる姿勢は、首相失格というほかありません。

 首相は「憲法改正について、最終的に決めるのは、主権者たる国民の皆様」(年頭会見)ともっともらしく「国民」を持ち出しますが、国民の多くは改憲を求めていません。昨年末の共同通信の世論調査でも、20年に新憲法施行を目指す首相の方針に「反対」が52・8%と「賛成」の37・6%を圧倒しています。改憲強行に何の道理もありません。

全国草の根からの運動で

 安倍首相の執念を受け、自民党は2月の党大会で改憲に「道筋をつける覚悟」との運動方針を決める予定で、すべての小選挙区支部に改憲推進本部をつくろうと策動しています。

 「草の根からの改憲策動」をはね返すため、3000万人署名など、全国津々浦々からの運動をさらに強めようではありませんか。


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