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2019年1月6日(日)

主張

TPP、日欧EPA

経済主権貫く貿易原則確立を

 昨年末に日本やオーストラリアなど11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)が発効したのに続いて、2月には日欧経済連携協定(EPA)が発効します。日本とアメリカとの自由貿易協定(FTA)の交渉も、1月末には本格化する予定です。いずれも国境を越えて活動する多国籍企業の利益を最優先し、国民の暮らしや地域経済を破壊するものです。2019年は、TPP11からの離脱、日欧EPAの解消、日米FTA交渉の中止を求め、経済主権・食料主権を尊重する、公平・公正な貿易ルールの確立をめざすたたかいの正念場の年です。

日本経済に重大な打撃

 TPP11は、もともと12カ国によるTPP交渉を推進したアメリカがトランプ政権発足後に「一国主義」の立場で離脱したため、残りの国でスタートさせたものです。一部の条項を凍結したものの、危険な本質に変化はありません。

 TPP11の対象範囲は貿易や医療、雇用など広範にわたりますが、とりわけ深刻な影響が懸念されるのは農業分野です。輸入牛肉の関税は38・5%から27・5%に引き下げられ、16年後には9%まで下がります。TPP11加盟国で大畜産国のオーストラリアやニュージーランドからの輸入が急増し、国内の畜産業に致命的な打撃を与えるのは必至です。

 輸入枠が拡大され、オーストラリアに無関税枠が設けられた国民の主食・コメでも、輸入の急増が必至です。日本の農業の存亡にかかわる大問題です。

 加えて2月に発効する日欧EPAでは、欧州連合(EU)との間で、豚肉や牛肉、ワインやチーズなどの関税が撤廃・引き下げられます。国内の畜産農家などにとって、TPP11とのダブルパンチとなります。

 1月末にも本格化する日米FTA交渉では、さらに日本への打撃が確実です。安倍晋三政権は「物品貿易協定」(TAG)だとごまかしてきましたが、アメリカ通商代表部(USTR)が昨年末発表した日本との交渉目的には、物品の関税引き下げ・撤廃だけでなく、自国に有利な通貨安防止、通関手続き緩和など非関税障壁分野を含め、22項目を列挙しています。

 アメリカが重視する知的財産の保護や電子商取引、遺伝子組み換えや残留農薬を規制する衛生植物検疫措置(SPS)なども交渉対象とされています。

 TPPを一方的に離脱したアメリカのトランプ政権は、自国に有利なように「TPP水準を下回らない」と公言しています。アメリカ側が「米日貿易協定」(USJTA)と呼ぶ事実上の日米FTA交渉で、日本が譲歩を迫られるのは明らかです。

離脱・中止は喫緊の課題

 安倍政権は「TPP反対」といいながら、TPPに合意、アメリカとの2国間交渉には応じないといいながら、日米交渉にも同意しました。譲歩に譲歩を重ねる、屈辱的な態度です。

 貿易自由化で、自動車など大企業は恩恵を受けても、国民に押し付けられるのは犠牲ばかりです。食料自給率のさらなる低下、国土や環境の破壊、地域経済にも重大な影響が出るのは明らかです。

 TPP11からの離脱と日欧EPAの解消、日米FTA交渉の中止は喫緊の課題です。


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