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2018年12月28日(金)

生活保護 引き下げアカン

審査請求で反撃

大阪にみる

 生活保護費が10月から引き下げられたのに対して「元に戻せ」と不服審査請求で反撃に立ち上がった利用者は、全国で5679人にのぼります(全国生活と健康を守る会連合会の集計)。大阪では750人以上が「生存権を守れ」と訴えています。関係者にその思いを聞きました。

 (海老名広信)


写真

(写真)生活保護引き下げ反対の思いを語る山内一茂さん=大阪府東大阪市

「土台沈めば全体沈む」

司法判断待たず

 生活保護費は2013年に戦後最大幅で引き下げられました。その取り消しを求めて全国で1000人を超える利用者が裁判で争っている最中、政府は司法の判断を待たずして再度引き下げました。

 大阪の訴訟を支援する「引き下げアカン! 大阪の会」の原告団代表、山内(やまのうち)一茂さん(69)は「命綱の生活保護を守り拡充したい」と、12月に審査請求しました。

 脳性まひでヘルパーの介助を受け東大阪市で1人暮らしをしています。収入は障害年金と生活保護費。生活保護費は10月から月1316円減額され8万757円になりました。

 13年に生活保護費を減額され、年金も下がり続け、月の収入は12年に比べ月1万円以上減り15万円台に。

 「人はパンのみにて生きるにあらずといいます。生物的に生きるだけでなく、自己実現してこそ生きがいがあるのに」と山内さん。生きがいの一つは読書ですが、本の購入を減らしました。さまざまな社会活動への参加が経済的に制約されることを恐れています。

単身者が心配…

 全大阪生活と健康を守る会連合会の大口耕吉郎会長は「生活保護費の度重なる引き下げで利用者は交際費が捻出できなくなり、親族や友人との交流が絶たれることが大きな問題」として、とくに単身者を心配します。大阪府で生活保護の単身世帯は17万8943(大阪府統計9月)。「地域で孤立し、人間性の崩壊につながるのではないか」と危惧します。

 「引き下げアカン!大阪の会」の雨田(あまだ)信幸事務局長は「生活保護利用者だけの問題ではありません。土台が沈んだら全体が沈む」といいます。社会保障制度「全体」を支える「土台」が生活保護制度だからです。

 大口さんは「生活保護基準は住民税非課税額や就学援助など数十もの制度に連動します。同基準の引き下げは3000万人もの国民生活に影響するとの研究もある」といいます。

 雨田さんも大口さんも、最低賃金の決定に生活保護基準が関わることを重視し、「労働運動と協力してたたかいたい」と語ります。

 大口さんは、安倍政権が社会保障費の自然増までも削り込む一方で、トランプ米大統領のいいなりにF35戦闘機など巨額の兵器を「爆買い」して戦争準備に使うと批判。山内さんは「軍事費を削って福祉に回してほしい」と語気を強めます。

 大口さんは「生活保護法」を「生活保障法」に変えて憲法25条の生存権を本当に具体化する対案を掲げて運動することの重要性を語ります。


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