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2018年12月25日(火)

ミサイル基地 癒やしの島にいらぬ

沖縄・宮古島市民いまも強く

命の水脅かす 軟弱地盤、空洞や断層も

 沖縄県宮古島市で、昨年11月に陸上自衛隊のミサイル基地建設工事が強行されてから1年がすぎました。防衛省は今年度中にも警備隊を配備する構えです。宮古島は地下水を水源として生きる島です。沖縄戦では日本軍の大量投入で、島が戦場となり、飢えとマラリアで多くの住民が犠牲になりました。市民には「癒やしの島にミサイル基地はいらない」との思いがいまも強くあります。(山本眞直)


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(写真)市民の目から隠すように黒いネットを張り巡らしているミサイル基地の弾薬庫工事現場(正面)。奥は野原岳の航空自衛隊野原分屯地のレーダーサイト=19日

 大型重機の土木作業音やダンプカーなど基地建設工事の騒音が、メロン畑のビニールハウス越しに響く野原地区。「戦争につながる自衛隊のミサイル基地は絶対に受け入れない」。この地区で農業を営む男性(65)の変わらぬ思いです。

 「陸上自衛隊 新基地建設反対」とかいたのぼりを自宅の玄関前にたてる男性。市民団体の「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」共同代表です。

 ミサイル基地は当初、島北側の福山地区に計画。しかし近くに島最大の生活水の取水地「白川田水源」があり、「生命の水源が汚染されかねない」と市民が強く反対。防衛省は福山への配備を断念しました。

説明せず

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 ミサイル基地は約800人を常駐させ、警備隊と地対艦、地対空のミサイル部隊を配備する計画です。島東部(保良地区)の採石場にも弾薬庫、射撃訓練場などの整備を計画しています。

 この間、隊庁舎、宿舎、燃料施設、保管庫(弾薬庫)などの施設建設が強行されてきました。自衛隊は、「島の地下水への影響はない、ヘリなども飛ばない」というばかりで、市民の不安や疑問にまともに答えず、自衛隊への不満が渦巻いています。

 住民連絡会は情報開示請求で自衛隊資料を入手しました。資料から、大量のジェット燃料施設、弾薬庫の存在が判明。ボーリング調査データなどから、施設周辺地下の地質が軟弱地盤で空洞や断層があるなど崩れやすく不安定であることを確認。これらを住民に説明してこなかった自衛隊を追及しています。

米海兵隊

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(写真)住民連絡会による宮古島市役所前での毎週水曜日の陸自ミサイル配備反対を訴えるスタンディング=19日

 この中で自衛隊は「飛ばない」としてきた軍用ヘリの飛行用燃料施設があること、離島奪還作戦訓練を「陸海空の自衛隊が共同で実施し、司令部も設置される」ことなどを認めています。

 鹿児島県奄美大島で自衛隊が米海兵隊と行っている上陸演習を宮古島でも実施するのか、との問いには、「現時点ではない」と回答するばかりで、否定しませんでした。

 野原地区で生まれ、日本軍「慰安婦」問題を考える宮古の会代表の上里清美さん(63)は宮古島の歴史をこう振り返ります。

 ―沖縄戦では人口5万人弱という小さな宮古島に、旧日本軍が3万人の兵士を投入。サトウキビ畑や民家を強制収容して3カ所に飛行場を建設。島が戦場となり、食料が底をつき飢えとマラリアで住民も兵士も犠牲となった。

 ―戦後は日本軍司令部のあった野原岳を米軍が占領し、レーダー基地に。復帰後は航空自衛隊がレーダーサイトとして継続使用。そして今度は陸上自衛隊がミサイル部隊を常駐させる…。

 上里さんは強調します。「観光客が宮古空港に降り立ち、口にするのは『空気がいいね、空が全部見えるね』です。まったり感が人気の島に、生命の水を脅かし、軍用ヘリやオスプレイが飛び交い、戦争につながるような基地はいりません」


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