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2018年12月18日(火)

米国境警備隊 拘束中の移民少女死亡

「非人道的」と抗議広がる

 メキシコから米国に越境したグアテマラ出身の移民少女がテキサス州で国境警備隊の管理下で死亡する事件が起き、トランプ政権の厳しい移民政策に批判が高まっています。


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 現地からの報道によると、テキサス州西部のエルパソでは16日、死亡したジャクリン・カールちゃん(7)の写真を掲げ、移民の権利擁護に取り組む活動家や市民が抗議しました。

 移民支援団体のフェルナンド・ガルシア代表は、「少女が拘束され、病院に連れていかれるまでの数時間に何があったのか明らかにせよ」と訴えました。

 少女は、グアテマラの先住民で、父親(29)とともに3200キロを旅し、砂漠地帯の国境に到着。6日夜、約160人の「キャラバン」の1人として当局が拘束し、翌朝に容体が急変し死亡したといいます。米紙ワシントン・ポストは、少女は「脱水症状と極度の疲労から死亡した」(13日付)と報道し、問題化しました。

 トランプ政権は、子どもを連れて米国に入国しようとする不法移民を敵視し、親子引き離し策を強行するなど、批判を浴びてきました。

 今回の事件について、全米市民的自由連合(ACLU)のシンシア・ポンパ国境権利センター弁護部長は、「今回の悲劇は、子どもを含む人々が、非人道的な状況で拘束されたことによる最悪の結果だ」と批判。越境する不法移民の数は減ったにもかかわらず、2017年の死亡者数は増加していると述べ、トランプ政権が国境の壁建設や軍隊配備を進めていることが、移民たちを「危険な砂漠地帯での越境に追い込んでいる」と指摘しました。

 少女を含む移民たちが、バス1台で約150キロ離れた収容所に移送されていたことが判明するなど、国境警備当局の扱いのひどさも指摘され、米国土安全保障省の総括監察官が、内部調査を開始しています。

 ホワイトハウスのミラー大統領上級顧問は16日、米CBSテレビに出演し国境地帯で暗躍する移民越境請負業者に言及し、国境警備当局に責任はないと強調しました。

 野党・民主党は、真相究明を求めて、トランプ政権に批判を強めています。ファインスタイン上院議員は、「当局が保護下においた少女に水を与えないことは、違法であり、野蛮な行為である」と指摘。「数百キロを歩き砂漠を超えて米国で難民申請をする家族は絶望のふちにある。米国は、温情ある、人道的な取り扱いをすべきだ」と強調しました。

 この間、カリフォルニア州サンディエゴで米国入国を試みる中米からの「キャラバン」が注目を集めてきました。(鎌塚由美)


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